時事テーマから斬る自治体経営 「企業誘致」の注意点

定住人口を獲得するためには、あるいは維持するためには、地域に雇用がなくてはいけない。それを実現する一手段が「企業誘致」である。企業誘致は、雇用の拡大や税収の拡大というメリットもある。今回は企業誘致に特化して注意点に言及する。

雇用の増加のセグメント化

一概に「雇用の増加」と言っても、セグメント化(細分化)することができる。それは図の通りである。図を簡単に説明する。まずは「①いまある事業者」と「②いまはない事業者」に分けることができる。

図 雇用の増加のセグメント化

出典:筆者作成

規模の小さな自治体ほど、行政資源(人・物・金など)は限られる。都道府県や政令指定都市、中核市のような規模の大きな自治体でない限りは、「①いまある事業者」か「②いまはない事業者」のどちらかに絞り、行政資源を集中的に投下して、雇用の増加に向けて政策を進めていく必要がある。

あるいは、どれかに限定しなくても、優先順位を明確にするべきである。すなわち、「あれもこれも」から「あれかこれか」への政策思考が求められる。

最初に図の「①いまある事業者」を細分化する。言い方は悪いが「③やる気のない事業者」と「④やる気のある事業者」に区別できる。そして「③やる気のない事業者」は、大きく「⑤延命措置」と「⑥業種転換」に分けることができる。

次に「④やる気のある事業者」を対象とする。この「④やる気のある事業者」も2類型できる。1つは、「⑦プラス(+)1人以上の雇用増の促進」を目指すケースがある。もう1つに、規模の小さな「小企業」を「中小企業」へと成長を促し、「中小企業」を「中堅企業」に変貌させていくという「⑧事業者の規模拡大」がある。

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