業界の常識を打破し 中山間地域での訪問看護事業を実現
「訪問効率が悪い中山間地域では経営が成り立たない」――そんな訪問看護業界の常識を打破すべく、若手看護師のネットワーク構築や、地域住民と共同での健康づくり事業に取り組むCommunity Care。持続可能な地域医療をいかに実現しているのか、同社代表取締役の中澤ちひろ氏に聞いた。
高齢化する25年先の
日本の姿を体現する雲南市
2004年に6つの町村が合併して生まれた島根県雲南市は、典型的な中山間地。年500人ずつ人口が目減りする人口減少都市で、高齢化率36.5%、年少人口割合11.8%(2015年)という人口構成は、25年先の日本の姿だ。通院が困難な人も多く、自宅での医療ケアに対する潜在ニーズは高かった。
そこで、市内三刀屋町のメインストリートに2015年7月に訪問看護ステーション「コミケア」が開設された。元々は書店だった商店街の空き家を改装し、現在は、訪問看護ステーション、三刀屋まちづくり協議会、子育てオフィスと共同で利用。今では月500件を超える訪問をこなすほか、住民参加型のサロンを開催するなど、地域医療と住民交流において大きな役割を果たしている。コロナ禍で、入院より家族と過ごせる自宅療養に関心を持った人も多く、訪問件数も右肩上がりで推移している。
「たくさんの幸せな瞬間をプロデュースするというのが、当社の経営理念です。週1、2回お訪ねするだけの限られた時間でも、その方にとっての日常の幸せを増やしていくことで、たとえ病気や障がいなどで生活が困難な部分があったとしても、辛い時も乗り越えていける活力になったりもします。治ることだけがゴールではなく、病と付き合いながら日常の楽しいや嬉しい、その人にとっての幸せを見つけて関わっていくことを大事にしています」と、訪問看護ステーションを運営するCommunity Care代表の中澤ちひろ氏は語る。
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