成熟産業にチャンス 日本を代表するレガシー企業の連合集団へ

「成長可能性のあるレガシー産業は無数にある」。そう語るのは、父が経営する屋外広告の会社をデジタルの力で変革し、約5年間で売り上げをおよそ3倍にしたクレストホールディングス、永井俊輔社長だ。永井社長が語る、レガシー産業がイノベーションを起こす方法論、レガシー企業の競争戦略とは。

レガシーは負の遺産ではなく
貴重な固有資産

――永井社長はベンチャーキャピタル(VC)のジャフコを経て、父親が経営する屋外広告の会社、クレストに入社されて同社を急成長テクノロジー企業へと変革されました。

永井 レガシー企業だからこそできるイノベーションがあります。そもそも「レガシー」とは、過去から引き継いできた貴重な固有資産であり、本来、ネガティブなものではないのに悪い印象で語られているところがある。

永井 俊輔(クレストホールディングス 代表取締役社長)

その背景には、この10年程、スタートアップが持て囃されすぎたことがあります。

なぜスタートアップが凄いように見えてしまうかというと、私は前職がVCだったこともあり感じるですが、大型の資金調達がしやすくなってPLがマイナスであっても事業に多額のお金を投下し、KPIが上昇して「いつか儲かります」という美しいエクイティストーリーを魅せやすくなった。しかし、そうした流れはそろそろ本質側に揺れ戻すでしょう。

実際、スタートアップよりもレガシー企業が強みを発揮できる事業はたくさんあります。小売店にAIの導入を進めているスタートアップもありますが、クレストは店舗を中心にサイン&ディスプレイ事業を手掛けてきたレガシーを有し、既存の顧客ネットワークを活かしつつ、リテールテックの商材を提供できます。

レガシー市場で
イノベーションを起こす方法

――クレストホールディングスは今、後継者難に直面した成熟産業の企業を子会社化し、それらの企業を成長させています。レガシーマーケット・イノベーション(LMI)の方法論について、改めて教えてください。

永井 まず第1ステップとして、DX化(デジタル変革)などで既存事業の生産性を向上させます(図参照)。それは何か特別なことをするのではなく、社内にコミュニケーションツールを導入したり、CRM(顧客管理システム)やMA、AIやBIを入れてきちんと運用したりなど、1つ1つのDX化です。

 

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