DXに不可欠な人材戦略 エンジニア組織と経営の相互不理解を壊す

2020年代は、「アルゴリズム・ドリブン」で競争力が決まる―。あらゆる産業が「デジタル産業」になる時代、企業にはどういった組織づくりが求められるのか。企業とエンジニア人材のマッチング事業を手掛けるファインディ、山田裕一朗代表に話を聞いた。

山田 裕一朗(ファインディ 代表取締役)

既存産業でも高まる危機感

――日本におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション、デジタル変革)の展開について、どう見ていますか。

山田 当社は、ハイスキルなエンジニアと企業をマッチングするサービス「Findy」などを提供し、大手企業を含む1000社以上の企業とお会いしてきました。そうした中で、効率化の手段としてITを活用するフェーズから、ITの中でも特にソフトウェアとアルゴリズムが事業の成長のために活用されるフェーズに入ってきたと感じています。

テレコミュニケーション、アドテク、メディアといった既にデータを扱っている領域でDXが先行し、次に入ってきたのは、同じくデータ化が進んでいる金融です。金融にソフトウェアとアルゴリズムを乗せたところに、フィンテックブームがありました。

今後DXが本格化していくのは、医療、物流、製造、人材といった、これまであまりデータ化されていなかった産業だと思います。そうした既存産業でも、DXを実現しなければ勝てないという危機感が高まってきました。

危機感の背景として、スタートアップの資金調達の規模が大きくなっていることも要因の1つです。かつては、スタートアップが先行して事業拡大しても、大企業は資金力で逆転できました。しかし近年は、数多くのスタートアップが数十億円を調達するようになり、大企業とあまり変わらない予算規模で広告宣伝費などを投下しています。競争環境が変化し、この数年、既存産業をテクノロジーで変革する流れがきています。

DXを阻む「人材」の課題

――DXを進めるためには、ソフトウェ アやアルゴリズムの知見が重要になる?

山田 ウェブ業界の歴史を振り返ると、2000年代は紙ベースで行われていた事業をウェブ化するビジネスが発展し、2010年代はウェブのモバイル化が中心でした。UI/UXが注目を集めたのは、小さな画面におけるユーザー体験の向上が課題だったからです。この時代には、デザインや情報の見せ方が焦点となり、デジタル技術はビジネスそのものにはまだ入ってきていませんでした。

そして2020年代は、おそらく「アルゴリズム・ドリブン」でプロダクトの競争力が決まり、ソフトウェアやアルゴリズムがビジネスの根幹を支える時代になると思います。

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