富士フイルム 写真フィルム製造技術でサステナブル社会を実現
写真フィルム製造の国産化を使命として、1934年に創立した富士フイルムホールディングス。先進・独自の技術力を磨き、現在はそれらの技術を応用して事業の多角化を展開。CSRの原点を「ステークホルダーからの信頼と環境への配慮」とする、グループのサステナビリティとは。
長期CSR計画「SVP2030」
2017年8月、富士フイルムホールディングスは事業を通じた社会課題の解決と、事業プロセスにおける環境・社会配慮との2軸で取り組む「Sustainable Value Plan 2030(SVP2030)」を発表した。ガバナンスとサプライチェーンで企業の基盤を成し、その上で環境、健康、生活、働き方の4つの領域で社会課題の解決に取り組み、サステナブル社会の実現を目指す。
環境の領域では、「自らの環境負荷を削減すると共に、環境課題に貢献する」を目標に、「気候変動への対応」「資源循環の促進」「脱炭素社会の実現を目指したエネルギー問題への対応」「製品・化学物質の安全確保」の4つを重点課題とし、それぞれ具体的な目標を設定し、取り組みを推進している。
環境保全の4大重点課題
写真フィルムの製造に大量の水を要するため、長く環境保全に取り組んできた富士フイルムグループ。重点課題の1つ目が「気候変動への対応」だ。2030年度までに、グループのCO2排出量30%削減と社会でのCO2排出削減50百万トンを目指す。
富士フイルムホールディングスESG推進部 統括マネージャーの中井泰史氏は、「製造にかかるCO2削減に努力することはもちろんですが、2030年度までに排出するCO2累積量をゼロにすることはできません。2030年度までに、自社製品・サービスの普及により、富士フイルムグループがライフサイクル全体で排出するCO2の累積量と同量の社会のCO2排出量を削減します。自社の排出量を社会での削減量でオフセットする形です」と話す。
製造においては、再生可能エネルギー由来のエネルギー調達や再生可能エネルギー設備の導入を強化・推進しており、すでにオランダ工場は100%風力発電で操業するなど、地域性に鑑みグローバルに取り組んでいる。
社会のCO2排出削減については、2003年度からすべての新製品、改良品について「環境配慮設計規則」に則って製品の環境影響低減を進めている。2018年度には、環境配慮に関する一定の基準を満たした製品・サービスを富士フイルムグループ「Green Value Products」として認定する制度を開始した。アルカリ現像などの処理工程が一切不要の「完全無処理」を実現したオフセット印刷用刷版材料のサーマルCTPプレート。水使用量や廃棄物を削減した上、効率的な乾燥機構により省電力化も実現したインクジェットデジタルプレス。データ保管時に通電の必要がなく、ハードディスクと比較して消費電力を抑えられる大容量磁気テープ。消費電力、動作音、有害物質、リサイクル設計など先駆的に環境負荷の軽減を行ってきた、カラー複合機やカラープリンターなどのオフィス機器が認定されている。
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