2019年9月号
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福岡のイノベーション力

「九州ナンバー1の会社」が示す 地方企業の経営者のあり方

忍田 勉(カンサイホールディングス 代表取締役社長)

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地方の一電材卸業者から、九州ナンバー1の住宅・ビル・商業施設の環境設備総合商社へ。時代とともに事業領域や組織体制を変えて、成長を遂げてきたカンサイホールディングス。福岡に本社を置く同社を牽引する忍田勉社長は、独自の経営手法と信念を持つ。

九州ナンバー1への
成長をもたらした3つの要因

カンサイホールディングス(福岡市)の前身・関西電業の設立は1954年。主に電気設備資材の卸業を手掛けてきたが、2002年にCI(コーポレートアイデンティティ)を策定して社名をカンサイと改め、以後は電材にとどまらず、住宅・ビル・商業施設などの環境設備総合商社として成長を遂げた。さらに2013年には持ち株会社のカンサイホールディングスを設立。現在、その傘下に12社を抱えている。

忍田勉社長によると、ここに至るまでの成長要因は3つあるという。

忍田 勉(カンサイホールディングス 代表取締役社長)

1つ目は、手掛けるアイテム数を増やし、電気設備資材だけではなく住設機器まで取り扱ったこと。忍田社長は、「総合商社化を見据えてのCIでした。事業領域を広げるためにも、『電業』の文字を外す必要があったんです」と語る。

2つ目は、九州全域に営業所を展開したこと。「卸業が成長するには、取引先と商品アイテム数を増やすというシンプルな戦略が効果的なのです」(忍田社長)。こうした取り組みが功を奏し、忍田社長が先代から社長を継いだ1995年当時、約100億円だった売上高は、現在では約280億円になっている。

そして、3つ目はM&A。カンサイHDはいくつものM&Aを行っているが、驚くことに一度も自分から買いに走ったことはなく、どの案件も経営が行き詰まった会社から懇願されたものだという。そのため、グループには同じような業態の会社が複数ある。

「私が買収先の会社に求めることは、ただ1つ。自分たちで責任をもって経営してもらうこと。グループ各社はすべて給与体系も違いますが、当然のことながら業績が回復しなければ賞与は出ません。もちろん経営の相談には乗るし、仕入れや資金面でのサポートはしますが、カンサイHDから社長を送り込むことはしません」

現在、買収した会社はすべて赤字から黒字へ転換。そして、このご時世、賞与も全社出ているという。

地方企業の経営者のあり方とは

カンサイHDの成長は、忍田社長の手腕によるものと言えるが、その経営手法には義理人情の厚さが感じられる。「やる気のある人間には、社長でも何でもまずやらせてみる。うちが持ち株会社にしている理由は、ここにあります」

経営を担うことで、その人の考え方や行動もおのずと変わってくるという。最終的な数字は見るが、過程には一切口を出さないというのが忍田流だ。

「地方で中堅・中小企業を成長させるには、ただ目の前の仕事をこなすだけでは駄目です。まず地域に根付き、いかに人間関係を築くのかが重要になります」

忍田社長は自社の事業とは直接関係のない会合にも積極的に出向き、“人間対人間”の付き合いを大切にして地域貢献にも力を注いでいる。こうした活動に取り組めるのかどうかも、地方の経営者として大事な資質だと語る。

苦境にある会社を助け、積極的に地域貢献を行う。その根底にある人間味溢れるスピリットの源泉は一体何なのか? ダイレクトに質問してみると、「そんなもんは、なんもなか!(訳:そんなものはなにもない)」と多少の照れもあってか、博多弁でぶっきらぼうに答えた。そして、忍田社長はこう続けた。

「先代から受け継いでいる座右の銘は『継続は力なり』。何でも続けることは難しいけれど、とりわけ会社の継続は非常に難しい。変化しないと潰れるし、常に新しいことにチャレンジしないと会社の鮮度は保てません。そのためにも、経営者には好奇心や感性の鋭さが必要です。何につけても問題意識を持って常に考え、即行動する。決断の早さも大事だと思います」

忍田社長は全日本電設資材卸業協同組合連合会の会長を務めるほか、取引先の後継者を集め、経営のあり方を説くスクールなども開催し、業界全体の底上げにも取り組んでいる。

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