海外にクラウドソーシング 現地の高度プロ人材を集める仕組み

海外展開やインバウンド事業の強化を進めるため、企業と有能な外国人材をつなぐ橋渡し役として存在感を高めているワークシフト・ソリューションズ。国境を越えたフリーランサー活用の可能性と、日本企業が越えるべき課題とは何か。

荒木 成則(ワークシフト・ソリューションズ 代表取締役社長)

少子高齢化とドラスティックな人口減少により、生産年齢人口の不足が予測される日本。政府は外国人労働者の受け入れ拡大へと舵を切り、すでにコンビニやファストフード店では外国人スタッフの姿が目につくが、一般企業への浸透はまだまだ進んでいない。

「外資系企業に勤めていた私からすれば、もったいないと思います。もっと多様な人々の知恵や経験を活用することで労働力不足を補う手段になるはずです。機械化やAI導入による労働力不足の解消策も重要ですが、機械は食事もしなければ買物もしませんので国内消費は細る一方です。そこで、日本企業と外国人フリーランサーとをつなげるビジネスを立上げ、2014年2月にマッチング・プラットフォームをスタートしました」と、ワークシフト・ソリューションズの荒木成則社長は語る。

高学歴で豊富なキャリアを持つ
フリーランサーが集っている

同社が運営する仲介プラットフォーム「ワークシフト」には、世界210カ国から約10万人のフリーランサーが登録している。その属性は、①元・留学生②海外在住の日本人、③日本企業の海外ブランチで働いたなどの経緯を持つ親日家に大別でき、受注者の60%が大卒、12%が大学院卒と高学歴だ。プロフィールを閲覧すると、副業を探している公務員、院卒のシステム技術者、元・証券会社のIR翻訳者など、錚々たる顔ぶれ。「留学生白書によれば、年間約2万5000人の外国人留学生のうち、日本で就職できるのは約3割。つまり、毎年約2万人の意欲ある外国人が就職していないわけです。彼らをフリーランサーとして発掘して業務委託契約を結び、個々の専門性を発揮してもらおうと考えました」(荒木氏)。

外国人を活用したい企業が「ワークシフト」に仕事依頼文を掲載すると、登録者から提案と見積が届く。あとは、適任者を選んで細かい条件をやりとりし、契約を交わして仕事を始めればいい。サイトには翻訳ツールと日本円での決済システムがビルトインされており、言葉の壁や為替リスクも気にならない。もし、マッチングサイトに不慣れなら、サポート付きのビジネスプランを選ぶこともできる。条件検索だけでは候補を絞り切れないクライアントに人材を紹介する「エントリー」、依頼を出す前にコンサルを行い、人選から業務開始までをアシストする「ライト」、依頼前から業務終了までを一括支援する「フルサポート」という3段階のサービスが用意されている。

さらに上位のアドバンスプランなら、地域や能力など特定のセグメントで切り出したフリーランサーをプールするなど、ニーズに合わせた専用プラットフォームをつくることも可能。九州電力とは「コスモポリス九州」プロジェクトと称し、海外人材の採用ミスマッチを減らすため、クラウドソーシングとダイレクトリクルーティングを融合したサービスを実証実験中だ。

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