地域の理想の未来をデザイン シティプロモーションの在り方を探る

人口減少や少子高齢化などを始めとした地域課題解決の必要性が高まっている。今後、一層厳しさを増していく地域課題を解決するためには、理想の姿から戦略を考え戦術を構築する必要がある。本研究会では、事業構想のアプローチによる実践を通じてシティプロモーションの在り方を探った。

地域の理想の姿を描く

まちの魅力をどのように伝えれば、共感し、ファンになってくれるのか。シティプロモーションとは、自治体が行う「地域営業活動」の総称ではないだろうか。一般的に営業活動の成果は、数値として定量化し、評価されるべきである。しかしながら、多くの地域では面白さや話題性というメディアやリソースの選択が優先され、本来の目的とは異なる指標で成果把握が行われる。結果として、その施策の是非が曖昧になっているのが実情だ。シティプロモーションとは、本来あるべき地域の理想の姿を想像し、理想を実現するための戦略や戦術を構築することで地域課題を解決していくべきである。

このような現状に対して、本質的な課題解決を行うためにシティプロモーションへ期待する自治体(青森県むつ市・奈良県生駒市・長崎県大村市)と地域課題に正面から向き合い課題解決を実現するための事業を志す企業(NTTドコモ・花王・モリサワ)が、事業構想大学院大学の主催するシティプロモーション研究会に参画した。研究会の基本的な考えとなる事業構想とは、社会課題を解決するためのアプローチであり、実現したい社会を想像し、理想の事業を構想することである。それゆえ、現状を積み重ねていくフォアキャスティングの考えではなく、理想の世界から逆算するバックキャスティングの手法が効果的である。

第一回研究会では、各自治体の首長が参加し、地域の理想の姿を描く重要な要素として、特に注力していきたい政策や事業、シティプロモーションを通して何を実現したいのか議論を重ねることで、各自治体における目的と目標が明確となった。また、各自治体職員を交えたディスカッションでは、具体的な地域の魅力や他の地域との差別化要因について議論を行った。シティプロモーションを成功させるためには、首長が目指すビジョンを共有し、政策目標を理解することで、地域の理想の未来を描く必要がある。また、自治体職員を通じて地域の声を傾聴することで、その理想を実現するための要素を発見することも重要になるだろう。

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