海外ロックバンドのツアーにも同行 老舗酒蔵の世界進出

海外売上げを急増させている楯の川酒造。その取り組みを牽引するのは、デザイナー出身のマーケッター、砥上将志氏だ。「お酒はメディア。ストーリーが大事」と語る砥上氏は、仏ロックバンドとのコラボなど、独自の試みで市場を開拓している。

天保3年(1832年)創業の楯の川酒造。2010年から吟醸王国・山形では初めて全量純米大吟醸の蔵元となっている

砥上 将志(楯の川酒造 マーケティングディレクター)

この9年で海外売上げが44倍も増加している酒蔵が山形県酒田市にある。天保3年(1832年)に創業した楯の川酒造だ。2009年に250万円だった海外売上げは、2018年に1億円を突破。全社の売上げも急激に伸びており、日本酒売上高は2009年の約2億円から2018年には約9億円になった。かつては、ほぼゼロだった海外比率が現在では20%近くになっている。

その立役者が、2010年に楯の川酒造に入社した砥上将志氏だ。

デザイナーが日本酒業界へ転身

砥上氏は日本IBMでデザイナーとして働いた後、海外に留学して米ニューヨーク、カナダのトロントに数年間滞在し、日本酒業界へと転身した。

「本来、デザインとは社会課題を解決するための手法です。私がなぜ海外に留学したのかと言うと、クライアントの提案を受けて、外見的なモノのデザインをする仕事に限界を感じたから。デザイナーとして活躍の場を広げたいと考えました。そして、海外で暮らしてみたら、日本の良さに改めて気づいた。『日本のためになることがしたい』と思って、帰国することを決めました」

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