被災地に「新たな一歩を踏み出す場」 市井の人のアイデアを実現

「何かしたい」という地域の人々の熱い思いを実現するための支援の場と仕組みを提供するNPO法人「TATAKIAGE Japan」のミッションを推進。福島県いわき市という地域特性を生かして、新たな一歩を踏み出す人々が集う「浜魂(ハマコン)」を立ち上げる。

小野寺 孝晃(TATAKIAGE Japan 理事長)

小野寺孝晃氏は、福島県いわき市で不動産業を営む実家を離れ、大学卒業後、東京都内のIT企業で新規事業を開発する部門や組織改革などのプロジェクトを担当。事業構想大学院大学の2期生として、大学院で地元・いわき市を題材に選び、地域活性の構想計画書を書き上げ、事業構想修士(MPD)を取得した。

「元々、IT企業に強い思い入れがあったのではなく、やがては実家を継ぐことになるのではないか」という思いがあったというが、計画書執筆のために頻繁に地元に通うなかで、地域の若い人が頑張っている姿に触れ、「東京にいても、いわきのことを考えている人もいるぞ」との思いでビジネスプランコンテストにチャレンジ。見事入賞を果たし、地元への思いを高めていった。

「いわき市の地域特性として、高校を卒業すると多くの若者は東京などの首都圏へ離れて行ってしまいます。その数は毎年約1,000人で、大学卒業後、Uターンして就業する数も類似都市とくらべて大変少ないです」

そこへ2011年3月11日に東日本大震災が起こり、福島県の太平洋に面するいわゆる「浜通り」地域の人々の流出が拍車をかける。

その一方、震災復興のために多くの人々がこの地域に入り込み、いわき市の宿泊業や飲食店に一時「震災バブル」という現象も生み出した。しかし、それもあくまで一時的なものに過ぎず、復興支援の潮が引いていく時期に小野寺氏はUターンし、地元のNPO法人の地域おこしのプロジェクトへ注力する決意をする。

福島の完全な震災復興はいまだに見えていない。それでもその地域に住み、アクションを起こそうとする人が存在するのを確信した小野寺氏は、実家のあるいわき市に飛び込んだ。

市民の目標実現のために
地域の人々の潜在能力を結集

「2015年にTATAKIAGE Japanに参画し、新規事業として『浜魂』というイベントを立ち上げました。これは先行事例として神奈川県鎌倉市で取り組まれていた『カマコンバレー』をリスペクトして始めたものです」

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