深刻な人口減の長崎県 九州新幹線西九州ルートは起爆剤となるか

日本屈指の生産年齢人口減少率に苦しむ長崎県。その影響は多くの産業分野に及び、同県本来のポテンシャルを活かせない状況が続いている。九州新幹線西九州ルート(や西九州自動車道)全線開通という中長期的な目標に向けての創生の方向性を探る。

生産年齢人口の減少率は
九州でワースト

九州7県は、いずれも独自の強烈な個性を放っており、県相互の異質性において際立っている。長崎県もまた、長崎市(原爆資料館や大浦天主堂など)、軍艦島、ハウステンボス、九十九島、雲仙、島原などの観光資源や、卓袱料理・ちゃんぽん・カステラ・佐世保バーガーなどご当地グルメのユニークさで印象づけられる。

その長崎県が今、厳しい状況に置かれている。本年1月、長崎市は人口流出全国ワースト第1位になったが、県全体を見渡しても1950年から2015年の間の生産年齢人口の減少率は九州7県中のワースト1位であり、全国でもワースト5位だ。

各産業における主要な担い手の不足は、県産業の弱体化に直結せざるを得ない。県の強みである1次産業のブランド化・6次産業化が進んでいない背景にはこの問題があるだろう。

各産業分野における"潜在力が活きない"状況をどう打開して創生に結びつけていけばよいのか? 今回は観光を通じた交流人口拡大という点から考えてみたい。

九州新幹線西九州ルート
全線開通時代への3つの方向性

長崎県の個々の観光スポットは魅力的である。クルーズ船や高速船による中国・韓国人観光客の増加にもそれは現われていよう。

ただ、観光全体を眺めると、九州内他県に対し競争優位性を発揮しているとは言い難い。

2次交通の脆弱性や、施設・サービス面などでの遅れもあって、たとえば、同県を訪れた人々の再訪問意向は全国33位(日銀長崎支店調べ、2017)と低迷。福岡(5位)、大分(11位)、熊本(12位)各県に大きく水をあけられている。

2次交通を充実させようにも、人口減少が深刻化し公共交通機関の利用者数が増える見込みのない中では難しいであろう。

そういう意味では、現在、計画が進められている九州新幹線西九州ルート(や西九州自動車道)の全線開通は、県にとって悲願と言ってよい。

全線開通時代に向け、様々な構想がなされているだろうが、筆者も3つの方向性を提示したい。

1つ目は"眠れる観光資源"を発掘し県の魅力をより高めること、2つ目は県内観光クルーズトレインのハイシーズン運行、3つ目は人口増加地域の勢いを活かすことである。

"眠れる観光資源"を
発掘し魅力をより高める

長崎県は、広島県とともに被爆県として世界平和や核廃絶に向けた拠点となっていることは言うまでもない。だが、同時に、広島県同様、帝国海軍の策源地であった。

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