2019年2月号

自治体オープンイノベーション最前線

「対話」が「共創」を生む 横浜市×民間企業スペシャリスト

月刊事業構想 編集部

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人口減少・超高齢社会、世界的な変化の激しい時代を迎え、自治体には従来とは異なる価値創出が求められている。共創先進都市"横浜"で行われた新たな挑戦をレポートする。

産官学の立場から、それぞれの知見を融合し、イノベーションの創出を目指した(YCCヨコハマ創造都市センターにて)

10年前より全国に先駆けて「共創」を推進する横浜市。共創を、「企業、NPO、大学など、多様な民間の皆様と行政とが対話を通じて連携を進め、それぞれの持つアイデアやノウハウ、資源などを活用することで、社会・地域の課題に対し、新たな価値や解決策を共に創り上げていくこと」と定義。市の基本的な姿勢としてもオープンイノベーションの推進を打ち出している。

既に全国の民間から700件以上の共創に関する提案を受け、その約4割を実現している。横浜みなとみらい21地区で実施された「ピカチュウ大量発生チュウ!」やNTTドコモの技術を活用したごみ分別案内チャットボットなど、エンターテインメントから業務の課題解決まで、多様な実績がある。

さらにこの取組を加速するため、2018年11月に、フィールド・地域へのネットワークを持つ横浜市と専門的な知見や経験を有する民間企業4社(①位置情報技術で日本最高峰のGeo location Technology、②日本最大級のモビリティサービス・プラットフォームのMellow、③キャッシュレスを通じた地域活性を全国で手掛けるエム・ピー・ソリューション、④コミュニケーション分野で圧倒的な知見と経験を有する凸版印刷)が対話を通じてイノベーションを創出する研究会を開催し、事業構想大学院大学の渡邊信彦教授がファシリテーターを務めた。

図 研究会のスキーム

 

多様な課題がある横浜市の中でも、テーマは「新しい魅力・賑わいづくり」に設定。民間企業からは、自社サービスを導入するために自治体に協力してほしいという提案ではなく、企業の専門的な知見をいかし、地域の課題に即した、横浜ならではの地域資源をいかした様々な取組が提案された。それをもとに、横浜市が業務を遂行する中で抱えている課題を説明し、企業がアイデアを出すなど、知と知が繋がり、熱心な議論が行われた。

閉会の際には、渡邊教授より「地域活性化は、一過性のイベントで終わってはいけないという認識を横浜市と企業の双方が持っており、課題感・未来感は近い。地域に根差した新しい価値を作るために、コミュニケーションを深めながら、先に進んでいくことが大切」と今後への期待が語られた。

民間企業からの4つの提案と横浜市のフィードバック

1 Geolocation Technology 強み
●警察にも導入される位置情報技術
●WEBマーケティングの専門人材

提案
年代や性別など多様な対象へ効果的な情報発信を行うための地域住民のスキルアップの仕組みの構築

意見
●観光だけでなく、環境や教育を担当する部署の情報発信の効率性向上にいかせる可能性がある。

 

2 Mellow 強み
●フードトラック活用の知見と実績
●フードトラック事業者のネットワーク構築の実績
●公共空間活用への知見

提案
フードトラックを活用した食のスタートアップ支援と地域活性

意見
●郊外のベッドタウンの団地にある飲食店が外貨を稼ぐためにフードトラックを活用するのも良い。
●MaaSのような新たな移動手段を設けるだけではなく、モビリティの強みをいかして食やヘルスケアといった様々なサービスを提供しに行くのも良い。

 

3 エム・ピー・ソリューション 強み
●キャッシュレスへの専門的知見
●コミュニケーション開発の実績

提案
認知形成、誘客・体験促進、消費促進まで一貫したスムーズなブランド体験の実現

意見
●コンテンツ作りと情報発信、キャッシュレスを連動した取組みが実現できるのではないか

 

4 凸版印刷 強み
●コミュニケーションの専門的知見
●多様な主体をまとめるプロデュース力

提案
「スポーツ」「文化・観光」「経済」を繋げ、地域の継続的な活性化を実現

意見
●横浜ならではの地域資源に、外国人の視点や雰囲気を掛け合わせることで新しい魅力創出に繋げられる。
●大規模スポーツイベントだけでなく、音楽ホールに来られた方が地域を回遊する仕組みも考えられないか。

 

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