業績拡大と共に高まる離職率 社内コミュニケーションで解決

松浦 信男(万協製薬 代表取締役社長)

私の父親が創業した万協製薬は、元々神戸市にありました。移転のきっかけは1995年の阪神・淡路大震災。激震地区にあった会社は倒壊して操業不能になり廃業を考えていました。そこで、再建したいと思っていた私が1996年に父から会社を引き継いだ際、製薬会社の誘致に積極的だった三重県多気町で再スタートを切ることにしたのです。当時の従業員は4人でしたが、今や170人まで拡大し、売上も100倍に伸びています。成長の理由は、自社ブランドをつくることをやめ、受託製造事業をメインに据えたことです。 これは医薬品業界では先駆的なビジネスでした。

ただ、会社が急成長するなかで従業員の忙しさも増し、2005年ごろには離職率が24%を超えるようになりました。そこで、その原因を探るために退職者にアンケートやヒアリングを実施。「相談できる人がいない」という課題が浮き彫りになりました。 この結果を受けて生まれたのが「 プチコ(プチコミュニケーション)ファミリー制度」です。他部署の従業員同士が4人(現在は8人)一組となり、定期的に集まって相談や交流をする制度になります。社長と専務以外の全従業員が対象で、入社時に抽選でチームを決めます。この取り組みを始めてから、離職率は5%まで減りました。

私は「顧客よりも従業員を大切にしよう」と考えています。当社はBtoB企業なので、「安価でクオリティの高い商品をつくり、顧客のブランドを守る」というのが重要なミッション。これは社員がいなければ達成できません。

コスプレイベントで恩返し

他にも、インターナルコミュニケーションの取り組みは充実しています。例えば月に一度行っている「キャリアエネルギーグラフ」の発表です。毎回1人の社員が自らのバックボーンを紹介するもので、社員同士の理解促進につながっています。また、30~40メートルの巨大掲示板「万協コミュニケーションボード」は当社の名物。誰もが自由に貼れるスペースで、常にたくさんのお知らせや募集情報が掲示されています。

制度としては、数年単位で様々な職場を経験するジョブローテーションを取り入れていて、自然と部署間の垣根は低くなっています。

地域貢献の取り組みについては、当社を快く受け入れ、支えてくれている地域の皆さんに「恩返しをしていきたい」という想いで実施しています。具体的には地元の高校生とコラボ商品を開発したり、何人かの従業員で地元の消防団に入ったり。さらに、個人的な趣味もあり「フィギュア博物館」やロケーションコスプレイベント「おたコス」も開催しています。2018年7月にはおたコスと連携する形で「ニコニコ町会議」が行われました。

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