2018年4月号「SDGs×イノベーション」完売!
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ひたちなか市の勝田駅前に約50年前に開店したサザコーヒー。コーヒーの質へのこだわりから、産地に自社農園を持つまでに至った。バリスタ育成や大学との連携を通じ、コーヒー文化を育てている。
サザコーヒー本店。鈴木会長の父が経営していた勝田宝塚劇場跡地にある。庭園に面したリゾート風の店内には、女性のグループや家族連れが多い
茨城県ひたちなか市に本店を構えるサザコーヒー。茨城県内を中心に、二子玉川や品川、大宮にも展開しており、2018年7月には東京駅前のJPタワー1階にもカフェをオープンした。
サザコーヒーは、茨城発のスペシャリティーコーヒー店として、絶大な人気を誇っている。創業の地であるひたちなか市周辺について、同社会長の鈴木誉志男氏は「ここは水戸などと比べると新しい街。日立製作所や原子力発電所関係者などもおり、理屈で説明すれば理解してくれる人が多い土地柄です。『コーヒーに安くてうまいは存在しない』と、手間暇をかけた高価格帯のコーヒーを販売してきた我々は、本当にこの地域に育ててもらったと思います」と話す。
鈴木 誉志男(サザコーヒー会長)
サザコーヒーは、1969年に鈴木氏が当時の勝田市(現ひたちなか市)で創業した。特徴は、コーヒーの質に対するこだわりにある。
同社は各国のコーヒー生産者と提携し、農園主と直接交流することで現地にネットワークを構築。高品質の豆を買い付けている。その象徴となるのが、1杯3000円で提供しているパナマ・ゲイシャ種のコーヒー。世界で最も高い値が付くパナマ産の「ゲイシャ」という品種の生豆を、10年以上、オークションで競り落としている。
また、1997年にはコロンビアに農園を取得。「言葉ができないので商社の人に助けてもらい、地元に友達を作って農園を始めました。茨城の喫茶店にとっては分不相応かもしれないけれど、手間ひまをかけた理想のコーヒーを実現したかった」と、鈴木氏は当時の思いを振り返る。自社の理想を実現するコーヒーを栽培すべく、東京農業大学を卒業した息子の太郎氏(現副社長)が中心となり、栽培品種の選択、栽培条件の整備、加工までを自社で手掛けている。
サザコーヒーが経営するコロンビアの直営農園。スペシャリティーコーヒーの畑には高地の斜面が利用される
コロンビアの中でも、農園のある地域は、ゲリラの活動拠点とされ治安が悪く、生産したコーヒーが日本に届くようになったのはようやく2008年になってからだった。その他にも、コーヒーの病気などのトラブルがあり、木を2回、植え替えている。それでもあきらめることなく、2011年には近隣の農園を追加で取得。そして2017年には、自社栽培したコーヒーがコロンビアの国内品評会で優勝するまでになった。
現地農園では現在、ゲイシャ種などの高級品種の栽培の他、品種改良や、接ぎ木による品質の向上なども実施している。また、日本から毎年十数人の社員を送り込み、研修を行っている。日本でコーヒー関連のビジネスに携わっている人でも、コーヒー栽培の現場を見る機会がある人は少ない。「他社と比べて、社員の潜在能力は高いと思います」と鈴木氏は言う。
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