日本に「100万人の村」が誕生? 年貢を払えば誰でも村民に
村があるから村民がいるのではなく、村民がいるから村ができる――。秋田県の辺境で、「村」の概念をひっくり返すプロジェクトが始まっている。それは、都市部の若者を巻き込み、過疎化が進む田舎町に多くの人を呼び込んでいる。
全国的に見ても急激なペースで人口減少が進む秋田県。2017年、県の人口は100万人を切り、99.5万人となった。その秋田県の小さな町で、全国の古民家を「村」に変えて、「100万人の村」をつくるプロジェクトが始まっている。
2014年、秋田駅から車で約40分、日本の原風景が残る五城目(ごじょうめ)町で「シェアビレッジ・プロジェクト」が始まった。シェアビレッジは、古民家を「村」に見立て、その村の維持・管理費を全国の多くの人たちでシェアする仕組みだ。
「年貢」と呼ばれる年会費3000円を払えば、誰でも「村民」になれる。村民になると自分が好きなときに「村」へ行き、田舎体験をしたり、宿泊したりすることができる。また、現地に行くのが難しければ、都市部で開催される村民だけの飲み会「寄合」に参加できる。
2018年6月時点で村民は2100人。シェアビレッジは、仕組みとしては年会費制の古民家ゲストハウスだが、それを「村」という世界観に落とし込むことで、多くの若者を呼び込むことに成功した。そのユニークなプロジェクトを「村長」として牽引しているのが、武田昌大氏だ。
失われていく日本の原風景
武田氏は秋田県鷹巣町(現・北秋田市)出身。大学で地元を出て、東京のゲーム会社に就職したが、秋田から離れたことで郷土愛を意識するようになった。
2010年、秋田のお米をネット販売するサービス「トラ男」をスタート。農家一人一人が丹精込めて育てた単一農家の"純米"を届ける「トラ男」の事業は、着実に成長していた。
しかし武田氏は、新たな課題を感じていた。
「秋田の人口減少は深刻です。お米のネット販売で外貨を稼ぐだけでなく、人に来てもらえる事業が必要だと考えました」
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