森永乳業のマーケティング戦略「デジタルを使って汗をかけ」

昨年で100周年を迎えた森永乳業。アイスクリームの『pino(ピノ)』や『PARM(パルム)』、ギリシャヨーグルト『パルテノ』など、幅広い世代に愛される、多くのヒット商品を生み出してきた。お客さまの嗜好が多様化する中、確実にファンを増やしてきた同社のコミュニケーション戦略とは...。

寺田 文明 (森永乳業 営業本部マーケティングコミュニケーション部長)

話を聞いてもらえる関係づくり

2008年から広告部門に所属し、様々な商品のマーケティングに携わってきた寺田文明氏。当時、インターネット広告は今ほど普及しておらず、マス広告が主流だった。当時から、テレビCMを大量に流す手法の効果に疑問を抱いていた寺田氏は、広告の在り方について常に試行錯誤を重ねてきた。

2011年に渋谷センター街で行ったイベントをきっかけに、お客さまと直接話すこと、熱意でもって心を動かすことの大切さに立ち返ったという。

「テレビでやるか、デジタルでやるかは単なる手段。"1対1の対話こそ究極の広告"だという結論に達しました」。

テクノロジーの発達で情報が氾濫し、嗜好が多様化する中、知覚品質レベルでの商品の差別化は困難だ。

「例えば、ヨーグルトの菌が他といかに違うかをいくら語っても、お客さまにはその差はなかなか認めてもらえません。まずは、話を聞いてもらえる関係づくりが大切です。商品のことを好きになってもらう前に、森永乳業という企業自体を好きになっていただく。その上で、商品を選んでいただき、購買行動を促すには、お客さまの気持ちや感情を動かす必要があります」。

これまでのような、一方通行型で大量に情報を投げる広告の在り方では、理解や購買行動に繋げるのは難しい。

「広告ではなくコミュニケーション、販売促進ではなく関係構築を大事にし、短期ではなく長期の視点を持つことが重要です」。

そうした想いを込め、2016年、広告部をマーケティングコミュニケーション部へと名称変更。"お客さまと良い関係を築く"ことを第一に、コミュニケーションを上位とした広告宣伝活動を行っている。

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