金箔の新たな可能性を追求 女性社長が率いる金沢箔メーカー

400年の歴史を誇る金沢箔。その新たな可能性を追い求め、美容や食などの新分野に果敢に挑戦するメーカーが箔座だ。今年3月に父から事業承継した高岡美奈社長に、金沢箔の可能性を聞いた。

山中漆器と金箔を融合したモーションプレート

高岡 美奈(箔座・高岡製箔代表取締役社長)

伝統工芸が今も息づく街、金沢。中でも金箔は400年もの歴史を持ち、全国総生産量の99%を金沢市が占めている。県を代表する産業の一つと言っていいだろう。

金箔の古くからの需要は、神社仏閣の仏具や建物の内装・外装、家庭に設置される仏壇などの表面装飾である。近年は宗教心の薄れから仏壇を置く家庭は減る一方。職人も平均年齢70歳近くと高齢化が進み、その数も、伝統的製法の「縁付」の職人は組合登録で20人程度となっている。はために見れば、斜陽産業に入るのかもしれない。

そのような状況の中、イノベーティブな経営で注目を集める会社が、昭和初期開業の箔座だ。様々な業種とのコラボレーションによって箔の新しい用途を開発し、ファッションやインテリア、食、美容など幅広い分野に展開している。

同社を率いるのは今年3月に就任した高岡美奈代表取締役社長。現会長である高岡昇氏の次女で、20歳の頃に箔の道で生きていこうと自分の進路を決めた。

「父親が箔を愛している姿を幼い頃から見ていました。箔を未来へ残すには、会社を残していかなくてはならない。直接言われたことはありませんが、父のそういった思いを肌に感じ、悩みながらも箔の世界へ飛び込むことにしたのです」

大学卒業後はあえて東京の企画会社へ入社。CIやVIを用いて、クライアントの企業戦略の設計に携わった。「仏壇仏具をメインとした事業だけでは、将来的に行き詰まるだろう」と案じ、未来を見据えた修行期間と位置づけてのことだった。

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