テクノロジーの進化で、衣類や繊維にもセンサーが搭載できるようになった。伸縮性を帯び身に付けられるIoT機器「ストレッチャブルデバイス」は、建設運輸・医療介護・エンタテインメントなどで多様な用途が見込まれている。
CESで注目を集めた「未来の服」
1月、米国ラスベガスで開かれた世界最大規模のIT機器の展示会「CES2017」。ウェアラブルデバイス、人工知能(AI)を活用した家電などが多数出展されたが、その中でも、ある日本企業の展示した“ 服”に注目が集まった。「2017 CES InnovationAwards」のウェアラブルデバイス部門を受賞したこの製品は、東京大学のスピンオフベンチャーであるXenomaが開発中の「e-skin」だ。
「e-skin」はカメラを使わずに人体のモーションキャプチャやトラッキングができるIoTシャツ。シャツには14個のセンサーが配置されており、曲げ、伸ばし、ねじれなどの身体の動きを把握、胸部のデバイスからBluetoothでデータを飛ばす。体の動きだけでなく、体温・心電・筋電・動脈血酸素飽和度といったセンサーも搭載できる。
その特徴は、洗濯機で洗えるほどの優れた伸縮性と耐久性だ。XenomaはPrinted Circuit Fabricと呼ばれる、伸縮性のあるワイヤーとセンサーを一般的な繊維に組み込める技術を保有している。ゲームやVRと連動したエンタテインメント用途、フィットネスでの姿勢矯正、幼児や老人のモニタリングなどのヘルスケア、車両運転中のドライバーの危険行動を予測・通知する業務用途など、さまざまな分野への活用を見込んでいる。
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