米国の事例に学ぶ 観光客が「お金を落としたくなる」まちづくり
観光産業を利用して地域活性化を図るには、訪問客の消費総額が重要だ。例えば、使途限定特別地方税を財源とする手法は、オーランドをはじめ成功例が多い。観光地経営の全体像を俯瞰し、地域観光計画の重要性を考える。
オーランドの過去事例から学ぶ
観光客から得た税収を地域経済発展へ活かす
DMO成功例の一つとして、年間訪問観光客がニューヨークやラスベガスを超える6600万人と全米トップを誇る、オーランド地方(フロリダ州オレンジ郡)の例を見てみよう。
オーランドの観光産業の発展には、使途限定の地方特別税が投入されているのが特徴だ。通常、観光を目的とした国際会議場のような観光公共インフラは、地方自治体の一般財源から捻出されるが、これらには開業後に運営黒字になるわけでもなく建設資金元利金返済と維持のための支出が増えていくことになる。観光インフラの恩恵は周囲の観光関連民間企業に還元される一方で、毎年赤字分を一般財源から補填することになってしまう、いわば,単体の損益計算書ベースでは赤字が不可避の投資だ。
そのマイナス面をクリアすべく、オーランドが導入したのが観光客開発税、いわゆるホテル税だ(表1)。
観光産業を運営するホテルや土産物屋から税を徴収するのではなく、観光客に課税することで、地域住民や観光関連業者に負担を掛けずに地域で自主的に財源を集めることができる。
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