柿をジャパンブランドに 日本唯一「柿の専門店」の挑戦

柿の生産量日本一を誇る奈良県五條市。「柿の専門店」である石井物産は、柿菓子を中心に、柿酢などの機能性食品、業務用柿渋など様々な商品を展開している。事業の根底にあるのは“地域のために”という創業以来の思いだ。
取材協力:リンカーズ

 

地元名産の柿をふんだんに使った、石井物産の柿菓子

柿を「素敵な食べ物」にしたい

「柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺」。日本人の誰もが諳んじることができる正岡子規の俳句のとおり、柿は奈良県の代名詞とも言える果実だ。奈良時代に中国から日本に伝来したとされる柿は、食べ物としてだけでなく、柿渋は防腐・防水のための塗料や染料にも広く活用されてきた。1905年には日本で生産される果物の42%を柿が占めたほどだ。

柿の生産量日本一を誇る奈良県五條市に本社を置く石井物産は、日本唯一の柿の専門店として菓子などのオリジナル商品を多数開発している。

「柿は、今ではおじいちゃん、おばあちゃんが食べるものというイメージになってしまいました。私達はそれを変えたい。柿を素敵な果物にしたいんです」

そう話すのは石井物産の3代目、石井和弘専務。時代と消費者の変化にあわせた新商品の開発や、柿のスイーツやお茶を楽しめるカフェのオープンなど、新事業を積極的に進めている。

石井 和弘 石井物産専務

食べられるのに廃棄される柿

石井物産は1965年、和弘氏の祖父が五條市西吉野町(旧西吉野村)で創業。元々はミョウガやキュウリなどの地元特産品を漬物にして販売していたが、「地域の課題解決のため」に1980年代に柿の加工食品に参入したという。

「当時、西吉野村の柿はブランド化が進んでいましたが、生食以外の用途が少なく、形の悪い柿が毎年数百トン単位で廃棄されていました。農協組合長や村長を務めた祖父は、この問題をなんとかしなければと、その有効活用と六次産業化を目指しました」

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