G7伊勢志摩サミットを活かし、地域資源をグローバルに発信

新幹線もない、空港もない三重県の外国人観光客が、急増しているという。その理由は、伊勢志摩サミットで世界的に高くなりつつある知名度をしたたかに活用し、様々な施策に取り組んでいる成果という。さらに、産業育成にも活かそうと試みが続く。

鈴木 英敬(三重県知事)

――「伊勢志摩サミット」を起点として、それを三重県の創生につなげてゆくために、具体的にどんな施策をお考えですか?

常に掲げているのは、「選ばれる自治体になる」こと。投資の場、観光に行く場、働く場、子育ての場として選ばれる自治体になるということです。そのためには、知名度向上や、地域に対する一定のイメージ形成が重要です。その点において、今回の伊勢志摩サミットは、まさに“千載一遇のチャンス”です。

しかし、そのチャンスを活かすためには、サミットの会場となる伊勢志摩地域だけではなく、全県を挙げて、そして、官民を挙げて取り組むことが必要です。

そこで、それを実現するために、「伊勢志摩サミット三重県民会議」を組織しました。そこには140もの団体に参加して頂き、民間の方々に協賛事業、応援事業、寄付などを通じて協力してもらえる仕組みを作ったのです。

結果として、現時点で900案件ほど出て来ていますし、日本各地、世界各国の企業からも協力の申し出があります。寄付金もすでに5億円近く集まりました。

また、サミットを一過性のイベントとして終わらせることなく、次世代に「レガシー」として継承していくための仕掛け作りもしています。

伊勢志摩サミット終了後になりますが、「G7広島外相会合」時に行われた「青少年外相会合」(=G7各国の高校生たちによる世界平和に向けた意見交換の場)と連携して、高校生サミットを開催したり、全国各地の大学生や留学生の参加するサミットを実施したりする予定です。

――サミットというと、政治リーダーの集まりと思われがちですが、伊勢志摩サミットでは、“多くの人々を巻き込む仕組み”を作っています。 どのような経緯があって、そのような方向性になったのでしょうか?

2013年に「第62回神宮式年遷宮」があって、その時に、観光キャンペーンなどを行った結果、伊勢神宮参拝客数が1420万人で、それまで最高の883万人を超え、同年の宿泊客数も968万人で過去最高を記録しました。

しかし、それは、実は、行政だけでなく、地域のみなさんに積極的に参画して頂いた結果でもあるのです。たとえば、夏に「お白石持行事」といって、宮川河原から採集した「お白石」を御木曳同様に陸曳・川曳で運び、正殿用地に敷き詰める行事があります。これは、神宮関係者以外にとっては、遷御後は絶対に立ち入ることのできない正殿そばまで入ることができる唯一の機会です。それを地域のみなさん主体でやってもらったのです。

そういう唯一無二の、日本や世界において最高峰の経験をしたことが、後に、地域に対する誇りになったり、自分たちの手で地域をもっとよくしていこうというモチベーションにつながったりするということを、私たちは経験したのです。

国際会議にもいろいろありますが、やはり、サミットという世界最高峰のものをやることで、そこに向けての努力やレベルアップが図られるということがあるのではないかと思います。それを通じて、地域全体の総合力を上げていくことができるという、そんな想いでサミットを活用しようと考えました。

―― 海外に対する情報発信に関しては、具体的には、どのように取り組まれてきましたか?

海外の報道機関への発信を強力に行なってきました。プレス・ツアーを今までに20回近く行い、結果、31か国の海外メディアの方々が来県され、三重の記事を書いてくれました。

また、世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」と連携し、外国人旅行者に対する認知度および満足度向上を目的とする「三重県×トリップアドバイザー 外国人おもてなしプロジェクト」を2015年6月から実施しています。

その結果、トリップアドバイザーにおける都道府県別満足度ランキングでは、三重県は44位から19位へと躍進しました。

同じくアメリカの大手旅行雑誌「トラベル+レジャー」でも、世界で行くべき50の場所の中に、日本から唯一、三重がランクインしましたし、ニューヨークタイムスの同趣旨のランキングでも三重は選ばれました。

知名度を上げたり、「選ばれる自治体」になったりするための仕掛けは、徐々に成果を挙げつつあると思います。

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