2016年6月号
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絶対成功させる! 海外進出

「リバース・イノベーション」が示唆するものは何か

榊原 清則(中央大学ビジネススクール 教授)

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新興国の台頭を背景に、新しいイノベーション論が生み出されている。海外では「リバース・イノベーション」などのコンセプトが生み出され、海外企業の事例が紹介されているが、学ぶべき「先進的な事例」は日本にも存在する。

コマツは、GPSとセンサーを組み合わせ、建設機械の位置情報、稼働状況を把握できるシステムを実現。あえて低スペックの通信技術を採用したことで、利用シーンを広げることに成功した
Photo by JLPC

新興国市場が成長する中で、新しいタイプのイノベーションに注目が集まっている。「フルーガル・イノベーション」、あるいは「リバース・イノベーション」といった呼称で取り上げられるイノベーションである。

フルーガル・イノベーションとは、「質素なイノベーション」といった意味で、お金をかけずに必要最低限のスペックを持った製品を低価格で実現するイノベーションだ。

もう一つのリバース・イノベーションは、「反転イノベーション」とも訳することができる。従来の取り組みでは、先進国で先行開発された製品を、その後、新興国向けに手直しして展開することが多かった。リバース・イノベーションでは、これが反転する。新興国で先行開発され、それが先進国に展開されて成果をあげた事例に付けられた呼称である。

GEがインドと中国で実践

リバース・イノベーションの先駆的な事例として、GEのヘルスケア部門がよく取り上げられる。GEは2000年代初頭、小型・低価格の携帯型心電計をインド農村部向けに開発、また、小型・低価格の超音波診断装置を中国農村部向けに開発した。それらの製品はその後、アメリカでも販売され、先進国でも新たな市場を切り拓いた。

こうした事例をもとに、リバース・ イノベーションを提唱したのは、ダートマス大学のビジネススクール教授、ビジャイ・ゴビンダラジャンとクリス・トリンブルだ。ダートマス大学は、アメリカで最初にビジネススクールが設立された大学であり、そうしたアカデミズムの権威が、『ハーバード・ビジネス・レビュー』という、これもまた評価が確立されたメディアを使い、GEのジェフ・イメルトCEOとも手を組んで、GEの成果を理論化し、概念的に一般化したのである。

それは、GEが社会的にインパクトのある取り組みをしているというアピールにもなり、最終的には、企業価値にプラスの影響を及ぼすことになる。

しかし、ここで注目したいのは、実は、「リバース・イノベーション」という言葉が生まれる前から、日本でも同様の試みが行われていたことだ。

コマツの戦略に見る「先進性」

コマツが、GPSとセンサーを組み合わせた「KOMTRAX(コムトラックス)」と呼ばれるシステムで利益率を向上させたことは、よく知られている。

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