「下町ロケット」のモデル企業 「編み」の技術で「人体の中」へ
ドラマ『下町ロケット』のモデルとなった企業が、福井市にある。衣料素材の製造を手掛けながら、人工血管や心臓修復パッチの開発に進出。福井経編は、未知の医療分野に挑戦し、さらなる成長を目指している。
『経編』という編み物をご存知だろうか? 一本の糸を縦方向に連続して編み上げたものであり、代表的な製品には衣料素材がある。これら経編など繊維産業は、福井を代表する地場産業だ。しかし、県内繊維産業の出荷額は1990年代初頭の4995億円をピークに、2010年には2306億円と半減している。
繊維産業の主な収入源は、原糸メーカーから糸の提供を受け、生地に編み上げる委託加工の『編み賃』である。出荷額の減少は、工程そのものがアジア諸国へと移行した結果だ。そうした中で、日本の経編業界のパイオニア・福井経編興業は、新たな領域を開拓して成長を遂げてきた。専務の髙木義秀氏は、こう語る。
「創業から70年経ちますが、当社は同じ仕事を繰り返してきたわけではありません。時代の流れを常に考えて、挑戦を続けています。社員とその家族を守ることが、企業の責任ですから」
福井経編は1990年ごろから委託加工だけでなく、自ら衣料品などの製品を企画・販売する「自販」の活動を開始した。付加価値が低いところから高いところへ、事業の転換を図ってきたのである。
生産と販売で独自の戦略
福井経編の年商は43億円、社員数は約90名。福井の繊維産業を代表する企業であり、経編では日本でトップクラスのシェアを持つ。
「編機は関連会社を含めると、合計で100台保有しています。日本全国の編機は1000台程度ですから、およそ1割を当社が占める計算です。かつ生産量は日本全体の23%です」
そのシェアの高さは、技術革新に力を注いできた結果でもある。
全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。
-
記事本文残り54%
月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!
初月無料トライアル!
- 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
- バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
- フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待
※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。