鹿児島県の成長戦略 「維新150周年」が観光誘致の起点に
日本有数の農畜産業・食品加工産業が堅調に成長するほか、「明治維新150周年」というまたとない観光振興のチャンスを迎える鹿児島県。各種計画や2016年度予算案から、鹿児島の次の成長戦略を分析する。
一流の農・食をさらに高める
鹿児島県は農業産出額で全国3位を誇り、特に畜産分野に強みを持つ(102ページ図参照)。農畜産物では黒豚、さつまいも、ばれいしょ、そらまめ、茶などの全国的知名度を持つブランドが数多く存在。2次産業も、工業製品出荷額の5割以上を食品関連産業(食料および飲料)が占めている。牛・豚・鶏などの畜産加工品、水産加工品、配合飼料、焼酎、荒茶・緑茶といった品目が代表的である。
当然、6次産業化や農畜産物の輸出にも長年取り組み、牛肉輸出市場でトップシェアであるなど、他都道府県に先駆けて大きな成果をあげている。鹿児島県が現在推進している農業・食品加工関連産業振興策は、強みをさらに伸ばすための堅実な施策が多いが、ある意味当然と言えよう。
2014-16年度は「食プロ」(食品関連産業振興プロジェクト)を推進。経営者向けセミナーなどによる経営力強化、新商品開発などの高付加価値化、人材獲得などを支援している。2015年度はデザイン活性化、ものづくり革新、一次加工品販路開拓という3つのメニューを新たに追加した。
また、2015年4月には大隅加工技術研究センターを鹿屋市に開設。大隅半島は露地野菜栽培が盛んだが、野菜の大半は県外で加工されている。この課題を解決するために同センターは設立された。新たな加工・流通技術の開発や、事業者による加工品の試作品づくり、販路拡大などをトータルで支援して、農業の高付加価値化を目指していく。
2016年度の予算案では、かごしまの農畜産物輸出倍増事業(予算額1890万円)を新規計上。農畜産物や加工食品の輸出促進を図るため、アジア地域での認知度向上、新市場開拓、農業団体などの輸出力強化支援、TPP参加国を対象とした輸出促進策などを実施する。
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