ふるさと納税を地域の経済政策に

盛り上がりを見せる「ふるさと納税」だが、ブームで終わらせることなく、地域活性化を促すにはどんな視点が必要なのか。ふるさと納税業務代行サービス「さとふる」を運営する、ソフトバンクグループのさとふる代表取締役社長の藤井宏明氏に聞いた。

故郷や応援したい自治体に寄付をする「ふるさと納税」。2015年度の税制改正では控除額が拡充され、関心を持つ潜在納税者が増える中、わが町をPRしやすい環境が更に整ってきた。2008年の制度開始から6年間で、寄付金額は1126億円に到達。規模が拡大するにつれ、関連業務の増大に悩む自治体も少なくない。そうした中、ふるさと納税業務代行サービスとして注目されているのが、一括代行サービスの提供を最も早くスタートさせたソフトバンクグループのさとふるだ。

世界でも類を見ない奇策

代表取締役社長の藤井宏明氏は、「寄付金を有効活用した地域づくりに貢献できるふるさと納税は、寄付した側、寄付された側、双方が幸せになれる制度。地域活性化という取り組みを互いに意識できることは画期的だ」と語る。

藤井宏明(株式会社さとふる 代表取締役社長)

ふるさと納税は自治体と納税者の新たな関係を育み、地域の活性化に資するものと期待されているが、お礼品の高額化等、自治体間の競争過熱を問題視する向きもある。こうした状況について、藤井氏は「寄付金集めや、地域の単なるPR策としての活用で終わっている自治体が少なくない」と指摘し、こう続ける。

「世界でも類を見ない奇策として始まったこの制度は、寄付金が順調に集まるようになると、多くの自治体で地域のPR策としても活用されるようになりました。ですが現在は、地域の経済政策として活用し根付かせなければならない新たな段階に入ってきています」

そもそもふるさと納税の目的は、都会に集中するお金を地方に移すことにある。ふるさと納税をうまく活用すれば、域内で経済を回す仕組みづくりが可能になる。藤井氏は、論点を自治体間の人気取り合戦だけに当てず、「もっと地域の未来に焦点を当てて考える必要がある」と説く。

寄付金を地域へ投資する経営的視点が不可欠

地方活性化のツールとしてふるさと納税を推進する自治体が増える中、税収確保に成功した事例も現れている。しかし一方、自治体が未経験の業務に取り組む中で、意図せぬ特定のお礼品への注文の集中、在庫管理の不徹底による発送遅延、各関係者間のトラブル等、業務取組初期段階で関係者が疲弊し、本来の目的である地域活性化にたどり着けず、効果が思うように得られない事態も発生している。

「業務を進める上で、どこでどのような問題が発生するのか、どう解決するのか、一社一括で業務を請け負うことで多くのことが見えてきています。また、地域課題を解決するひとつの手段として、何をお礼品として地場から買い上げるかを、地域の産業を意識し、戦略的に考えることが必要です。例えば、全国的に人気のお礼品である米や肉の内容量を少量にしつつ、地場産業を支える特産品のお茶は増量するなど、それぞれの地域の特性(強み)を意識したお礼品の内容を設定し、一般的に人気の高い産品と、地場で力を入れて行きたい産品で、適切なポートフォリオを組む事が重要です。また、集めた寄付金の使途として、地場産業の活性化に繋がるような投資を行う事で、ふるさと納税を経済政策として活用するための、行政の経営センスが今後は問われるでしょう」

折しも“ふるさと納税元年”と言われた2014年に設立されたさとふる。来年度中には200自治体との提携を視野に入れている。さらに藤井氏は、「諸外国で若い頃から投資を学び、実社会に出て投資をするように、所得のある人すべてがふるさと納税を通じて地域社会に寄付(投資)し、地域活性化に積極的に取り組めるようにしたい」と話す。

「納税者からの評価やクレーム、予想のしていなかった隠れた特産品など、さとふるに蓄積されたデータは貴重です。自治体にはそれらを漏らすことなくフィードバックしていきます。ぜひ、さとふるをデーターベースとして有効活用していただきたい。ふるさと納税に関連する業務は私たちが一括で請け負います、自治体のみなさまには、経済政策等の立案に専念していただきたいと思っています」

“ふるさと納税元年”から2年目を迎える来年は、その真価が問われる重要な年となりそうだ。

藤井 宏明(ふじい・ひろあき)
株式会社さとふる 代表取締役社長

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