2015年9月号
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オープンイノベーション

スマホで操作できる「木枡」 地場産業×IoTプロジェクト

小林 茂 (情報科学芸術大学院大学 教授)

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岐阜県大垣市における地場産業と情報産業のかけあわせによるオープンイノベーションの取り組み、「コア・ブースター・プロジェクト」。第一弾製品として「光枡」が発表された。同プロジェクトから、地方でのオープンイノベーション推進のポイントを考える。

傾けるとLEDでほのかに光る「光枡(HIKARIMASU)」。スマホアプリで操作する、大垣市発のIoTプロダクトだ(撮影:井戸義智)

岐阜県は古くからものづくりが盛んで製造業は中心的な産業となっている。製造業の中には、自動車や航空機の部品に加えてアパレルや木工、紙、プラスチック、陶磁器、刃物、機械、観光という8つの地場産業がある。例えば「木枡」の生産においては、全国の8割をつくる日本一の産地である。加えて、1990年代から地域情報化推進政策「ソフトピアジャパンプロジェクト」を大垣市において推進し、情報産業の育成と振興、集積に取り組んできている。

この地区において2013年9月から実施しているのが、製造業と情報産業という異業種から多様なスキルや視点、経験を持つ人々を集め、アイデアをつくるところからそれを製品として世の中に送り出し、イノベーションを創出するところまでをインキュベートしようという取り組み「コア・ブースター・プロジェクト」である。

ハッカソンの課題を乗り越える

最近では、多様な参加者がチームを組み、短期間で集中して共にアイデアをつくる「アイデアソン」や、それをソフトウェアとして(場合によってはハードウェアも)つくる「ハッカソン」が盛んに開催されるようになった。

この取り組みをデザインするにあたっては、2013年6月と8月に開催された2つのハッカソンに主催者側で参加した経験が活かされている。これらのイベントでは、主催者側で適切に推進することにより事業化の可能性が十分にあるコンセプトが創出され、イベント自体もかなり盛り上がった。同じような事例は多く、そこから事業化される成果が出てくるのではないかという期待感により、ハッカソンから製品を生み出そうという試みも多く開催されているが、残念ながらその多くは失敗に終わっている。

それにはいくつかの理由が考えられる。まず、ハッカソンはあくまで短距離走で、イベントの終了時に多くの参加者のモチベーションは最高潮に達し、その後は急速に冷めてしまう。また、製品として世の中に送り出していくためには知的財産権や製造物責任といった重い課題に正面から向き合う必要がある。さらに、たまたまイベントに集まったメンバーでそのまま最終的な製品まで進められることは稀で、多くの場合には途中でチームの再編成などの痛みを伴うマネジメントが必要になる。

光枡チームのミーティング風景。地場産業の職人からエンジニア、クリエイターまで多彩なメンバーが揃った

コア・ブースター・プロジェクト

コア・ブースター・プロジェクトは、多様な人々が短期集中でお互いのスキルを提供し合うことで新しいものをつくれるというハッカソンの良さは活かしつつ、そこから製品を生み出していくためにいくつかの要素を盛り込んだ。

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