泥の中の大運動会「ガタリンピック」 厄介者を資源化する視点
30年以上の間、毎年開催され入場者数を伸ばし続けている鹿島市の人気イベント、鹿島ガタリンピック。利用価値がないと思われていた干潟に光を当て、地域を盛り上げることに成功した。
海外24カ国、地域が参加泥の中の大運動会
佐賀県南部の鹿島市に3万5000人の観客動員数を誇る人気イベントがある。その名も「鹿島ガタリンピック」。有明海の干潟を利用して潟スキーや綱引きといった競技を行う、言わば泥の中で開かれる大規模な運動会だ。1985年5月3日に第1回が開かれ、回を重ねること31回。今年は5月31日の日曜日に、県内外はもとより海外24カの国と地域から2000人もの出場者が参加し、盛況のうちに幕を閉じた。
今でこそ佐賀を代表するイベントにまで成長したガタリンピックだが、誕生するきっかけは、地理的に不利な状況に追い込まれてからの打開策だったという。鹿島ガタリンピック運営母体であるフォーラム鹿島世話人の坂本鉄也氏は、当時の背景について次のように語る。
「ガタリンピック開催前年の1984年に佐賀県の統合計画が発表されました。それによると、鹿島市には新幹線も高速道路も通らないことが判明したのです。車社会である鹿島にとってその計画は、危機感を募らせるに十分なものでした。そこで当時、鹿島青年会議所理事長を務めていた桑原允彦氏が市内の各青年団体へ声がけをし、地域一体を網羅する組織を作り団結しようと呼びかけたのがすべてのはじまりです」
同年5月に桑原氏が初代代表世話人として就任し、フォーラム鹿島が誕生した。この団体を中心として、ともすれば陸の孤島になりかねない鹿島を盛り上げるための施策を思案することになったのである。
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