「顧客は誰か」を問うことが、ビジネスモデルを考える原点

ビジネスモデルを構築するにあたって、「顧客は誰か」を決めることは、最初に重要なこととなる。真の顧客は、「営業している相手」の裏側にいることもある。医療製品のメーカー・ホギメディカルは、「顧客」を再定義することで成長を遂げてきた。

1964年に発売した滅菌用包装紙「メッキンバッグ」

Case Study

ホギメディカル(以下ホギと略す)は、1961年に医療用記録紙の販売会社からスタートした。1964年には、その後の事業のベースとなる滅菌用包装紙「メッキンバッグ」を発売した。これは院内感染防止に貢献する商品であった。

そして次の事業として、1972年に医療用不織布を発売した。当時病院では、手術着などは手術後洗浄して再利用していたが、洗濯の手間と感染リスクがあった。そのため、同社はディスポーザブル(使い捨て)の手術用ガウン、キャップなどを開発し、感染防止を進めた。

90年代に、医療材料をセット化したキット製品の提供を開始

キット化で看護師業務を効率化

さらに事業を拡大させたのが、1994年からのキット製品である。これは手術で使うディスポーザブルの医療材料をセット化したもので、手術の準備の手間を大幅に減らし、人為ミス防止、感染防止、ひいては手術の収益改善にも寄与するものであった。それまで手術に必要な材料は、看護師がリストを見ながら集め、必要な材料の選択に関しては、経験と勘による所が大きかった。この準備には、ベテランの看護師が数人で作業しても、数時間かかっていた。

このキットの中にはホギの不織布だけでなく、テルモの注射器、ファイザーのメス、ジョンソン・エンド・ジョンソンの縫合糸などの他社製品も含まれていた。

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