ビジネスチャンス発見の技術 隠れた「可能性」にこそチャンス

意思決定を左右する重要な事象や状況、またはそれらに関する情報を発見し、活用する「チャンス発見学」。東京大学・大澤教授が2000年に創始して以来、多くの企業がその手法を用いてヒット商品の開発につなげている。

チャンス発見のプロセスで使われるデータの可視化手法「キーグラフ」(KeyGraph(R)が登録商標)。データが導き出した各要素の結び付きをマップで表示する。上記は、そのマップ上でイノベーションゲームを実施した後

さまざまな出来事の中から、価値のある事象を見つけ出すプロセスを研究する学問分野がある。東京大学工学系研究科システム創成学専攻の大澤幸生教授が提唱する「チャンス発見学」だ。現在、IT関連や製薬会社などの製造業やサービス業を中心に導入が進んでいるという。

大澤幸生 東京大学 工学系研究科システム創成学専攻 教授

「従来のマーケティングは、売れ筋商品を見つけ出し、販売促進をかけていく手法でした。一方、チャンス発見学は、売れ筋を予測するのではなく、放っておいても売れない商品からチャンスを発見し、適切なアクションによって売れ筋にしていく手法です」

データを可視化した「地図」

チャンスを発見する際に重要なツールの一つが、データのつながりを可視化する「キーグラフ」だ。キーグラフはいわば「マーケットの状況を描いた地図」であり、現在の環境において、進むべき道をとらえるのに役立つ(キーグラフの手順は、図参照)。

キーグラフが描かれた模造紙は、一見すると、ブレインストーミングやマインドマップのようにアイデアの発散に活用されているようにも見える。しかし実際は逆である。

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