2014年8月号

社会イノベーションの起こし方

起業大国NO.1を目指せ

平将明(衆議院議員)

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安倍政府の「日本再生ビジョン」に掲げられた7つの提言の一つに「起業大国NO.1」がある。世界に通用するベンチャー企業の創出・育成は日本経済再生への大きな足がかりとなる。

平 将明 衆議院議員

「起業大国NO.1」をとりまとめた平将明衆議院議員に、政治経済評論家(元衆議院議員)の谷本龍哉氏と、事業構想大学院大学の岸波宗洋准教授がお話を伺った。

起業=恰好いいの時代へ

岸波 起業大国NO.1とは、どのような政策ですか。

 廃業率よりも開業率が低いという現状を、なんとか打破していかねばなりません。雇用をもっとも生み出すのは起業5年以内の企業とも言われ、起業支援は、経済成長や税収だけでなく、新たな雇用創出という面で大きな効果があります。

そこで新たな起業と雇用の創出に向け、官邸に「起業大国推進本部(仮称)」の設置を提言しました。推進本部では、総理の強いリーダーシップのもと、教育、人材育成、規制緩和、金融、労働法制など多岐にわたる政策をトータルで俯瞰し、省庁横断的な政策パッケージを作り、実施していきます。また、政府が起業を応援しているという強いメッセージを発信していくことも重要でしょう。

岸波 平議員は、起業家を取り巻く現状と課題をどうとらえていますか。

 ベンチャーブームは定期的に来るのですが、その終わり方が良くない。ベンチャーというと、どこか「胡散臭い」という空気が蔓延しています。まずは、この空気を変えるべきです。

谷本 そうですね。よく知らない人は、ベンチャー=ギャンブルといったイメージを持ちがちです。

 イメージを変える一つの方法として、教育の現場で「起業は恰好いい」という空気を作ること。実際に起業し、実績を持った人が教育の現場に出ていくことが重要です。そのために、文部省と経済産業省が連携して、創業経営者を学校に派遣したり、起業家と学生との交流会や、ベンチャー企業でのインターンシップ、ビジネスプランコンテストなどを実施しています。

2020年には中高生が将来なりたいものの一番に「起業家」があがるようにすること。それが我々の目標です。

「原則自由」な特区を提案

岸波 実際に、どのような起業支援や事業化支援を考えていますか。

 構想では、日本人だけでなく、世界中から意欲を持った人が日本で起業したいと思うような国づくりを目指しています。

いま、「起業大国フラッグシップ特区(仮称)」の設置を提案しています。ここでは、あらゆる事業活動が「原則自由」な特区をつくろうと考えています。

自動車の自動運転や、無人ヘリコプターの運行など、世界では様々なイノベーションが起こりつつありますが、これらは既存の法律に照らし合わせるとすべて実現不可能になります。

そこで、原則禁止から、原則自由な特区へ、大胆に規制を緩和する特区を試験的に作る。無人ヘリがピザを宅配してもいい。「まずやってみる」という姿勢です。特に、過疎で悩んでいる地方の町や村に、最先端のITや自動運転を導入すれば、劇的に変わるのではないでしょうか。

岸波 ベンチャー起業の創出では、投資家と起業家とのマッチングは重要だと思いますが、その点はいかがですか。

 現在、起業家の応援団としてベンチャーに出資するエンジェルを増やすべく「エンジェル税制」が創設されていますが、手続きの煩雑さなども原因して十分に活用されていないのが実情です。税制の抜本的な改革を行い、「使えるエンジェル税制」を作ろうと動いています。

谷本 アメリカでは、起業家に投資するエンジェルは、投資に伴う事業評価の能力を持っています。一方で日本の個人投資家のほとんどが投資会社と連携し、個人的に判断できる投資家はほとんどいません。

 そうした人材が圧倒的に不足しているのが実情です。海外との交流の中で、投資家の育成をしていくことも重要です。特に、ロボットやバイオベンチャーなどは、目利きができて、リスクを取って長期間の資金を出せる投資家が必要です。

左から政治経済評論家・谷本龍哉氏、平将明衆議院議員、岸波宗洋事業構想大学院大学准教授

物事を広く見る「構想力」を

岸波 谷本先生は衆議院議員をされた後、中小企業の再生を手掛けていらっしゃいます。そうした視点からご意見を伺えますか。

谷本 中小企業の再生支援で多いのが、単年度は黒字なのに、借金が多すぎて、資金調達に苦労されている企業です。そうした中小企業をどう助けるかも日本の課題だと感じています。

 とても重要な指摘だと思います。いま生き残っている中小企業は、金融危機やサブプライム問題を乗り越えてきているわけで、バランスシートは非常に厳しい。でも足元は黒字で、雇用も生んでいる。優れた中小企業が生き続けるための、もう少し現実に沿った金融対策が必要です。

岸波 金融面では今後、どのような政策を進めますか。

 官民ファンドの投資を直接ベンチャーに向けるだけでなく、民間VCのファンドに出資したり、官民一体となってリスクを取るマッチングファンドも進めていきます。

また、大企業が将来有望な技術やモデルを持つベンチャーに対して行うM&Aへの支援も重要だと考えています。日本のベンチャー企業の成長が海外に比べてダイナミックでないのは、M&Aに消極的なことも原因でしょう。一方で、日本の優良なロボットメーカーが次々と海外企業に買われている。こうした事態を改善するためにも、日本の企業会計基準がM&A活動の障害となる事態は避けるべきでしょう。

岸波 最後に、事業構想大学院に対して、人材育成面で平先生からご意見があればお聞かせください。

 大切なのは細かいスキルやテクニックではなく、いま、社会がどう変わって、何が必要なのかを見通す構想力だと思います。大きな構想力があって、その下に戦術・戦略がある。型にはまった知識を身に着けても実社会では通用しません。物事をどれだけ広く、高い位置から見られるかが重要になってくると思います。そうした構想力のある人材をぜひ育成してください。

平 将明(たいら・まさあき)
衆議院議員
1967年生まれ。早稲田大学法学部卒業後、家業の青果仲卸売会社・山邦に入社、96年社長就任。03年東京JC理事長。05年衆議院議員選で自由民主党から出馬し、初当選。現在3期目。前経済産業大臣政務官。現自民党副幹事長兼情報調査局長。
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