礎としての未来学

経営管理から事業構想へ。その基盤には未来学がある。過去は変えられないが、未来は構想し、変えることができる。これから未来を創りだそうとするすべての事業構想家にとって、未来学は有用な指針となるにちがいない。

「万国博をかんがえる会」の主力メンバー、通称「貝食う会」の5人による談論風景
左から、加藤秀俊、梅棹忠夫、林雄二郎、川添登、小松左京 写真提供:梅棹淳子

誰も見たことのない“未来”を創る

事業構想学は未来学である。ただし、ここでいう未来とは、現在の延長としての未来ではなく、いまだ誰も目にしたことのない未来である。このような未来を創るもの、それが事業構想なのである。

2012年4月、おそらく世界で初めて本格的なMPD(Master of Project Design:事業構想修士)育成をめざす専門職大学院として事業構想大学院大学が表参道に誕生して以来、あっという間に2年がたった。その間、大学院に続いて、事業構想研究所、そして本誌月刊「事業構想」の創刊と、やつぎばやに新たな事業が立ち上がっていった。まさに事業の構想と実現のサイクルが、ものすごい勢いで回りだしたのである。そして今春、大学院が最初の修了生を世に送り出し、新たな入学生を迎えた節目の時期に、私たちは次なるステージへと向かおうと思う。それは一言でいえば、事業構想学を構想する段階である。

誤解を恐れずにいえば、これまで「走りながら」考えてきた事業構想の要点を、いま一度整理し、体系化する作業をおこないたいのである。そうすることによって、教育や研究そして本誌のクオリティをさらに高めるのが目標である。はたして「事業」を構想するように「学」も構想できるものなのか。もちろん大いなるチャレンジではあるが、肩ひじをはらずにことをすすめてまいりたい。楽観論こそ事業成功の秘訣とおもうからである。

冒頭で「事業構想学は未来学である」と言った。唐突に感じられた方も多いと思うので、もうすこし解説を加えたい。皆さんは未来学という言葉をはじめて耳にされただろうか。経験をしたこともない未来を学問の対象とできるのであろうか、そんな疑いをもつ方もいるかもしれない。未来学と聞くと、未来予測を思いおこす方が多いのではないだろうか。輝かしい未来の予測は、なにか空虚な印象を受けるし、人類の破滅を予言するような予測も少し聞き飽きているかもしれない。

もちろん、未来がどのようになるのか、真摯に考え、予測することも未来学の一部分である。しかし、未来学はそれ以上に未来構想学でもある。過去は変えられないが、未来は構想し、変えることができる。その点をかんがみると、未来学は未来を創り出すことを希求するすべての事業構想家の基礎となる分野ではないだろうか。

未来を構想するという視座はこれまでの学問分野では必ずしもその中心理念としてはかかげられてこなかった。過去に経験したことから確実な知識を獲得することが経験科学を基盤とする学問の姿勢であった。過去の延長線上に未来がある時代、その有益性は保証されていたかもしれない。しかし、劇的に変化する現在の日本・世界の中で有効な解を探るためには、過去の知識だけでは非力である。未来をどうするのか、学問的にも探求すべきときではないのだろうか。

ここで少し時代をさかのぼり、日本の未来学の草分けたちの姿を通して、変化する社会と未来学、未来構想のすがたを追いたいとおもう。

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