ふるさと納税研究会 経済波及効果などをまとめた報告書を発行

 

事業構想大学院大学事業構想研究所が主催する「ふるさと納税・地方創生研究会」は、2017年12月28日、調査・研究の成果などをまとめた「ふるさと納税 実務者ガイド」を発行した。

 同研究会では、ふるさと納税で寄附をした人を対象としたインターネット調査や、自治体の首長に対するアンケート調査などを実施してきた。今回の報告では、研究成果と、研究会で作成した「ふるさと納税に関するガイドライン案」、ふるさと納税を活用して地域づくりを進める自治体の事例などを紹介している。

 

研究会で実施したふるさと納税の波及効果の分析では、自治体による返礼品の購買が、地域内もたらす経済波及効果を計算した。寄附の返礼品を、自治体が地域内で購入したとする(初期需要)。初期需要のうち、自治体内で生産された分が直接的な経済波及効果となる。

 

さらに、返礼品の生産にかかわった人が受け取る所得と、その原材料の生産に関わる人の所得が生まれ、家計消費の増加につながり、それに対応して作られる品物やサービスがまた所得を生み出す、という波及効果のサイクルが発生する。今回の分析で算出した経済波及効果は、初期需要と一次波及効果、二次波及効果を積算したものだ。

 

研究会に参加した長野県飯田市のデータで分析したところ、返礼品の種類により120~186%の経済波及効果が確認できた。返礼品に地域資源を用いれば用いるほど経済波及効果は大きくなり、特に観光・レジャー型の返礼品ではその効果がはっきりと現れる。飯田市では、寄附者に足を運んでもらい、「山」「里」「まち」を体感できるような返礼品を検討しているという。これらの研究成果の一端とガイドライン案は、2017年11月に「ふるさと納税・地域創生フォーラム」などで発表している。

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ふるさと納税の経済波及効果を計算