インドネシアのオンチョム菌で食品廃棄物が美味しい食事に CO2削減に効果も
インドネシア発の伝統食材がレストラン業界を席巻し、温室効果ガス排出の削減にも貢献する可能性が浮上している。(※本記事は『Grist』に2024年11月8日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
オンチョム(oncom)の製造工程は、まさに魔法のようだ。まず、大豆の絞りかすをバナナの葉で包み、オンチョム菌(Neurospora intermedia)というカビの胞子を振りかける。その後、暖かく湿った場所に約1日半置いて発酵させる。このカビが繊維質の絞りかす中のタンパク質やデンプンを消化し、セルロースをも分解することで、西インドネシアの多くの人々に愛される料理に生まれ変わる。
「これは本当に驚くべきことです」と、元シェフで現在は生物工学者のヴァユ・ヒル=メイニ氏は語る。「36時間という短時間で、このカビがほとんど食べられないものを完全に変えてしまいます」
ヒル=メイニ氏は、この技術が広く認知されることを期待している。彼はスタンフォード大学の助教授で、科学誌『Nature Microbiology』に発表した論文で、食品廃棄物や農業副産物を活用した菌類発酵が、次世代の食文化を切り開く可能性を秘めていると主張している。
ヒル=メイニ氏にとって、これは単なる料理の開発以上に、食料の持続可能性を高め、世界規模で飢餓を削減する取り組みだ。彼が注目するこの発酵プロセスは、すでにインドネシアの一部地域で何世紀にもわたって利用されてきた。オンチョムという伝統的な主食は、動物性タンパク質に代わる安価で栄養価の高い選択肢として広く活用されている。
オンチョムは、炒め物や詰め物、ソースの基材として使われたり、揚げ菓子としても提供されたりなど、オンチョムは伝統的に、少し古くなったオンコムを大豆のおからと合わせて発酵させられる。作り方は味噌に似ており、テンペ(インドネシアの納豆のような食品)に似たタンパク源を提供する。この東南アジアの料理がかつてシェフであったヒル=メイニ氏を刺激し、料理を生み出すカビの研究と、それを世界中で活用する方法の模索を始めさせた。
続きは無料会員登録後、ログインしてご覧いただけます。
-
記事本文残り78%
月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!
初月無料トライアル!
- 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
- バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
- フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待
※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。