中国で注目を浴びるニジマス サーモンの代わりとして持続可能性に貢献の道も
(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年1月6日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

中国における養殖サーモンの需要が前例のないスピードで拡大している。2023年の輸入量は前年比46%増となり、特に生鮮および冷蔵の大西洋サーモンの輸入量は63%増加した。
この急成長により、世界の水産物市場は大きく変化している。スコットランド、ノルウェー、チリ、オーストラリア、フェロー諸島、カナダ、アイスランドといった主要な輸出国は、中国市場の膨大かつ急速に変化する需要に応えるために競争を繰り広げている。
一方で、中国国内でのサーモンの生産は技術的な課題に直面し、十分な供給を確保できていない。この状況を補うため、ニジマスのような代替品への関心が高まっている。
2018年、中国政府はニジマスを「サーモン」として表示・販売することを認可した。この決定により、輸入されたサーモンと国内養殖のニジマスの区別が曖昧になり、価格に敏感な消費者にとって手頃な選択肢が生まれた。
ニジマスは見た目やサイズがサーモンと似ており、肉質はしっかりしていて脂がのり、色合いもオレンジピンクである。栄養価や調理法もほぼ同じで、代替品としての適性が高い。
最新の研究によるブラインドテスト(目隠し試食)では、多くの中国人消費者が国内産ニジマスと輸入サーモンの味の違いを識別できなかった。しかし、原産地を伝えたところ、消費者の好みは輸入サーモンに大きく傾いた。これは、消費者が「どこで生産されたか」を重要視する傾向が強いことを示している。
価格の受容性に関しては、ブラインドテストの段階では違いは見られなかったものの、原産地が明らかになると、消費者は輸入サーモンに対してより高い価格を支払う意志を示した。ただし、高価格を受け入れるには、味や見た目、香りの好みが満たされることに加え、エコラベル(環境基準を満たした証明)があることが重要な要素となった。
環境負荷
スコットランドの湖、ノルウェーのフィヨルド、チリの沿岸などから中国市場へサーモンを輸送するには、複雑な物流が必要となり、環境負荷も大きい。特に、サーモン養殖は資源集約型であり、カーボンフットプリント(炭素排出量)が高いことが持続可能性の観点から課題となっている。
中国の消費者は「鮮度」を重視する傾向が強いため、輸入サーモンの迅速な配送が求められる。しかし、この輸送プロセスが環境に与える影響も無視できない。こうした背景から、中国ではオンラインプラットフォームを活用したシーフード購入が急速に普及している。
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