NTT CS研 オープンハウスに向け研究成果を発表、質感伝達ARなど
NTTおよびNTTコミュニケーション科学基礎研究所(NTT CS研)は2026年5月12日、「NTTコミュニケーション科学基礎研究所 オープンハウス2026」で公開する研究成果の概要を発表した。オープンハウスは毎年開催しているもので、2026年は大阪・京橋のNTT西日本オープンイノベーション施設「QUINTBRIDGE」および「PRISM」にて、5月20日から22日の3日間、実施する。
12日の報道機関向け内覧会では、オープンハウスで公開する22件の研究展示から8件の最新の成果を披露した。内覧会冒頭の挨拶で、NTT CS研所長の納谷太氏は、「人と人、人とAIの『こころまで伝わるコミュニケーション』の実現」を目指して研究を進めていること、「データと学習の科学」「メディアの科学」「コミュニケーションと数理の科学」「人間の科学」という4領域で研究を推進していることを説明した。
内覧会では、それぞれの研究領域を代表する成果が紹介された。例えば、光デバイスなどの省電力アナログデバイス向けの新しいニューラルネットワーク学習法、混合音から聴きたい音だけをリアルタイムに抽出する選択的聴取技術、絵本感想対話AI「ぴたりえチャット」、瞳孔の動きから漫然運転状態を検出する研究、テキストから画像を探す場合などのクロスモーダル検索における「ハブテキスト」の特定などだ。
内覧会に合わせて報道発表した質感伝達の研究では、AR物体の見た目の柔らかさが「押し込み量」と「変形範囲」の両方で決まること、指の間で伸びる領域がちぎれるまでの距離に応じて、見た目の粘り気が強まることを実験的に明らかにし、3Dディスプレイや触覚提示装置などの専用ハードウェアを介さずに質感を伝達する道筋を示した。
また、生物体内の細胞間相互作用推定の研究では、目標とする細胞配置からその背後にある相互作用ルールを逆問題として高速に推定する手法を提案し、再生医療におけるiPS細胞由来オルガノイド作製などへの応用可能性を示している。
5月20日からの大阪での開催では、内覧会で公開された8件を含む合計22件の研究展示に加え、慶應義塾大学特任教授で日本科学未来館館長の浅川智恵子氏による招待講演「AIスーツケースの研究開発と社会実装への挑戦」、および所内研究者によるeスポーツの脳・生理メカニズム、デジタル・オルガノイド、点過程と機械学習を用いたイベント時系列解析に関する研究講演が予定されている。事前登録制で入場は無料。
NTT CS研は1991年に関西で発足したNTTの基礎研究拠点で、現在は厚木とけいはんなの2拠点に約150名の研究者が在籍する。NTTの研究開発体制は4つの総合研究所の傘下に14の研究所が属する構成で、CS研は先端技術総合研究所に所属する2つの「基礎研究所」のうちの1つに位置づけられる。