バイオマスでエネルギー自給を実現 兵庫パルプ工業が挑むGX経営の最前線
(※本記事は経済産業省近畿経済産業局が運営する「公式Note」に2026年5月20日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

バイオマスをとことん有効活用
兵庫パルプ工業は、エネルギーを多く使うパルプ製造の現場で、省エネと脱炭素を両立するため設備投資と運用改善を重ねてきました。パルプ製造で発生する「黒液」といわれるパルプ蒸解廃液を燃料とする3号ソーダ回収ボイラーと、建築廃材とRPFを燃料とする4号バイオマスボイラー、未利用材・一般木材・PKSを燃料とする5号バイオマスボイラーをそれぞれ運用し、工場で使用する蒸気と電力を100%自給しており、電力は余剰分を売電しています。
バイオマス燃料の活用により、化石燃料由来のエネルギーや電力の使用を抑えることでCO2の排出削減に取り組んでいます。また、木質チップの受け入れも大規模で、森林資源の循環にも貢献しています。
加えて、バイオマスの有効利用をさらに進めるため、直近では3号真空蒸発缶を新設し、黒液濃度を約15%から約76%へ高効率で濃縮できるようにしました。3号ソーダ回収ボイラーでの燃焼効率が向上し、黒液の濃縮に必要な蒸気量を減らすことで、燃料とコストの削減につながりました。
また、蒸解・蒸発工程で発生する粗メタノールガスを捕集し、液化燃料へ転換する液化メタノール設備を国内で初めて設置しました。捕集したメタノールは、重油の代替燃料として使用することで、バイオリファイナリーへの一歩を踏み出しました。これまでの燃やす燃料から、高付加価値な工業原料へ転換させる最先端のバイオプロダクト工場を目指し、弛まぬ努力を続けています。
パルプ製造で発生するパルプ蒸解廃液を燃料に稼働
バイオマスボイラーの燃料となる
ウェットからドライへ ── 物流効率を高め、CO2も削減する新スタンダード
2015年にパルプドライマシンを導入し、従来のウェットパルプでは約50%だった水分率を約10%へ低減させたドライパルプをつくれるようになりました。これにより輸送効率が大きく向上し、出荷に必要なトラック台数は概ね半分に。試算では、輸送時におけるCO2排出量について、年間約3,000トンの削減効果を得られています。また、ウェットパルプの課題だったカビや凍結も解消したことで遠方や海外向けの出荷が安定し、現在は輸出比率が約60%と、品質と物流の両面でメリットが出ています。
パルプの水分率を低減し輸送効率と品質の両面が向上
地味だけど効く、毎日の省エネ
日々の電力使用量を確実に下げるために工場と事務所の照明は順次LEDへ更新。空調は設定温度の上限・下限を社内ルール化し、無駄な上下調整を抑えています。
圧縮空気の使い方も見直し、古いコンプレッサを間欠運転が可能な高効率機へ置き換えました。使っていないときは止める、必要な分だけ短時間で使うという基本を徹底し、電力を多く消費するコンプレッサ由来のムダを減らしています。ほかにも、スチームトラップを更新し無駄な蒸気漏れを防いでいます。
また、苛性化工程の石灰焼成キルンでは、従来は重油の噴霧に「アトマイズ蒸気」を使っていましたが、LNGを噴霧する方式へ切り替えることで蒸気使用量や燃料由来のCO2を削減し、運転コストも削減しています。
こうした様々な省エネ取組は再現性が高く、他の工場でも展開可能です。兵庫パルプ工業は、バイオマスを活用したエネルギー自給、工程改善、物流効率化、そして日々の省エネの積み重ねで、CO2とコストの削減も同時に進めています。
製材端材や木造住宅の解体廃材などを原料に高品質なクラフトパルプを製造
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- 近畿経済産業局 公式note