バイオーム、早稲田大・東北大と連携 3つの技術で継続的な自然資本マネジメントへ

株式会社バイオームは、早稲田大学および東北大学と連携し、企業や自治体の自然資本マネジメントを支援する新たな枠組みを構築すると発表した。同社は、利用者が撮影した生きものの写真を投稿・共有する市民参加型アプリ「Biome(バイオーム)」を運営し、集まった生物データを生物多様性の把握に活用してきたスタートアップである。今回は、環境負荷の評価、環境DNAによる生物観測、データの統合管理という3つの技術を組み合わせ、事業活動や地域の課題が自然に与える影響を継続的に把握し、改善につなげる仕組みづくりを目指す。

枠組みは、3つの技術を役割分担で組み合わせる構成となる。評価を担うのは、早稲田大学の伊坪徳宏教授が開発した環境影響評価手法「LIME3」である。製品やサービスのライフサイクル全体を対象に、環境負荷が人間の健康や生物多様性、社会資産にもたらす被害までを評価し、事業活動のどこに影響が集中しているかを見極める役割を持つ。観測を担うのは、東北大学の近藤倫生教授が代表を務める環境DNA観測ネットワーク「ANEMONE」で、採取した水などのサンプルから生物種を特定し、その情報をオープンデータベース「ANEMONE DB」として公開している。これらの評価・観測データを接続し、統合的に管理するのが、バイオームが開発したプラットフォーム「BiomeBoard」である。市民参加型の生物多様性データも活用しながら、評価と観測をつなぐ。

3者の連携により、評価が観測すべき場所を示し、観測が評価の確からしさを裏づけるという相互補完の関係が生まれる。重点的に取り組むべき拠点・地域の把握、保全・再生施策の検討、社内外への説明・開示対応、継続的なモニタリングという一連のプロセスを、途切れなくつなぐことを狙う。

自然資本への対応は、これまで情報開示のための一度きりの評価にとどまりがちだった。今回の枠組みは、それを事業判断に活かせる継続的なマネジメントへと発展させる試みと位置づけられる。バイオームは、企業のTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)対応や自治体の地域戦略策定を支援するとし、ネイチャーポジティブの取り組みにおける日本発の標準づくりに貢献したい考えだ。あわせて、企業・自治体を対象としたパイロット実証の参加者募集も始めている。