建築資材「デジタル問屋」のMOZU、シリーズBで13億円調達
建築資材のデジタル問屋「MOZUオーダー」を運営するMOZU(東京都港区)は2026年7月9日、シリーズBラウンドで総額約13億円の資金調達を実施したと発表した。Spiral Capitalをリード投資家とする第三者割当増資と、日本政策金融公庫からの借入によるもので、これにより累計調達額は19.5億円となった。この資金は、資材選定・見積作成・プラン作成といった業務を自動化する業界特化型AIの開発などに投じる。同社は2023年に設立された企業。今回の調達を機に、AIを前提に事業・プロダクト・組織を構築する「AIネイティブカンパニー」への進化を目指す。
MOZUは「MOZUオーダー」の運営を通じて、幅広いカテゴリの資材情報や資材ごとの組み合わせ、工事会社の依頼内容・購買傾向、専門人材が担ってきた判断など、業界特化のノウハウとビッグデータを蓄積してきた。ECプラットフォームではなく問屋そのものの機能を担い、専門人材が行う一連の業務を社内基幹システムで分業・デジタル化することで生産性を高めているのが特徴だ。「多層・多拠点・対面」を前提とせず、1社1拠点で全国をカバーすることで、下流商社のマージンや拠点コストといった中間コストを圧縮する。
これにより、中小工事会社に対しても「格安」「現場からスマホで見積もり依頼・発注」「最短翌日の届け」といった価値提供が可能になり、サービス開始から約1年半で2万社超の会員登録を達成した。これはコアターゲットとなる全国約20万社の約1割にあたる。
今回調達した資金は、資材選定・見積作成・プラン作成の自動化に向けたAI開発に投資する。具体的には、長年の経験に基づく暗黙知のドキュメント化や商品データベースの整備を通じて、数日を要していた専門業務を「プロと同等以上の精度」かつ「数分」で完了できる機能の実装を目指す。これにより流通工程のコストを根本から圧縮し、外部環境の変化に強い資材流通基盤の構築を狙う。あわせて、エンジニアやプロダクトマネージャー、営業、事業開発などの幅広い領域で採用を強化する。
引受先には、リードで既存株主のSpiral Capitalのほか、三菱地所のCVCであるBRICKS FUND TOKYO、みずほキャピタル、みんなのマーケットなどが名を連ねる。このうちみずほキャピタルとみんなのマーケットは新規投資家として資本参画した。
建築資材は商品点数が膨大なうえ、現場や建物の条件によって選ぶべき資材や配送方法が変わるなど固有の複雑さを抱える領域だ。調達業務の判断の多くは専門人材の経験に依存しており、公開情報や汎用的なAIでは対応が難しいという。