日鉄興和不動産 多拠点居住事業に本格参入 シェア別荘のSANUと
日鉄興和不動産(東京都港区)は、シェア別荘サービスを手がけるSANU(東京都目黒区、月刊事業構想2024年1月号参照)との共創により、多拠点居住事業に本格参入する。2025年12月24日に発表した。第1弾として、「SANU 2nd Home 軽井沢2nd」(長野県御代田町)と「SANU 2nd Home 伊豆1st」(静岡県伊東市)の2物件の販売を同日、開始した。
日鉄興和不動産は2025年4月、SANUと資本業務提携基本合意書を締結。「人生を豊かにデザインするためのマンション」をコンセプトとする同社のマンションブランド「LIVIO(リビオ)」と、「Live with nature. / 自然と共に生きる。」を掲げる国内最大級のシェア別荘「SANU 2nd Home」を組み合わせ、都市部住宅と自然拠点による新たな住宅価値の創出に取り組んでいる。
今回販売を開始する2物件は、LIVIOをはじめとする日鉄興和不動産のマンション居住者を主な対象とする。タイムシェアリゾートと同様のしくみを取り、毎年12泊(1口)から使いたい分だけ権利を購入する。普段は都市部で生活するマンション居住者に対し、「都市と自然を行き来し、地方の自然を日常生活の一部とする暮らし」を提供する。
軽井沢2ndは総室数9室(総口数270口)の木造平屋建て。伊豆1stは総室数16室(総口数480口)の木造2階建てで、いずれも日鉄興和不動産が50口を募集する。権利形態は建物所有権(共有持分)と事業用定期借地権(2055年まで)となっている。
日鉄興和不動産はこれまで都市部での住宅供給を主力としてきたが、ライフスタイルや価値観の多様化、都市部への人口集中が加速する状況を踏まえ、地方での多拠点居住事業を新たな事業領域として位置づけた。同社は今回の取り組みを、既存事業と親和性の高い市場での新規事業検証と位置づけている。今後は得られた知見を活かし、自然拠点の段階的拡大、都市部マンションとの連携サービス開発、多拠点居住の普及と新たな住宅価値の創出を進める方針だ。多拠点居住の推進を通じて、大都市圏居住者と地方との関係人口増加、地方創生への寄与も目指す。
SANUは2019年設立のスタートアップで、環境共生型のオリジナル建築プロダクトを開発。2025年12月時点で全国35拠点231室に展開しており、今後も規模拡大を予定している。