小型の電子鼻を開発 ネズミに匹敵する嗅覚で災害対応にも期待
(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年11月6日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
空気中の匂いを検知し、犬やネズミと同じくらい効率的に、匂いの発生源を追跡できるロボットを想像してみてほしい。このような技術が実現すれば、密林の中での小規模な山火事の早期発見や、地震後の瓦礫に埋もれた人々の救出、さらにはトリュフ狩りにまで役立つ可能性がある!
私たちの研究チームは、このビジョンの現実化に一歩近づけた。においを数ミリ秒で識別できる、コンパクトな電子鼻を開発したのだ。
私たちの研究の目的は、この人工嗅覚を探求し、空気中から環境に関する重要な情報を、いかに迅速に抽出できるかをテストすることだった。私たちは「嗅覚の速度」が哺乳類と同等、ときには上回ることがあることを示した。
私たちの研究は現在、「Science Advances」に掲載されている。
複雑で多様なにおいの世界
動物は驚くほど素早くにおいを感知する。この能力は何百万年もかけて、生存率を高めるために進化してきた。しかし、なぜそれほどスピードが必要なのだろうか?
その答えは、ニオイが空気中で移動する仕組みの複雑さにある。皆さんがおそらく考えているのとは異なり、発生源から検知される場所に遠ざかるにつれて、ニオイが徐々に弱まるわけではない。
むしろ空気の動きによって、非常に混沌とした環境が作り出される。そこではニオイは不規則なプルーム(煙流)を形成し、非常に短時間で断続的に移動する。このプルームは、風の剪断や分子拡散を含む、小規模あるいは大規模な乱流空気力学の組み合わせと、環境境界条件によって形成される。
動物にとって、こういったニオイのプルームを理解することは非常に重要である。ニオイとの一瞬の接触のたびに、貴重な情報を得ることができる。
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