日立製作所ら 国内初のブロックチェーン環境債の発行に向け協業を開始

日本取引所グループ、日立製作所、野村證券、BOOSTRYは、BOOSTRYのブロックチェーン基盤を活用した社債型セキュリティ・トークンのスキームを利用した公募大口顧客向け(ホールセール)グリーン・デジタル・トラック・ボンドの発行に向けて協業を開始した。2022年4月15日に発表した。

グリーン・デジタル・トラック・ボンドは、グリーン投資に関係したデータの透明性やデータ収集作業の煩雑性を解消するため、デジタル技術を活用する債券。今回発行するデジタル債は、日本取引所グループが発行会社となる公募セキュリティ・トークン・オファリング(STO)で、国内初のホールセール向けの発行となる。STOとは、発行会社がブロックチェーンなどの電子的手段を用いて発行するトークンに株式や社債等を表示する「セキュリティ・トークン」により資金を調達するスキーム。

同デジタル債では、従来の証券保管振替機構による管理に代わり、BOOSTRYが主導するコンソーシアム型ブロックチェーンネットワーク「ibet for Fin」を用いて発行・管理をする。発行から期中管理、償還までの業務プロセスを電子的方法により完結させる。ibet for Finに係るシステム上で社債原簿の管理を行うとともに、従来型の社債では困難だった発行会社による社債権者の継続的な把握等を可能にする。

日本取引所グループは、このデジタル債によって調達した資金の使途の透明性を高めるため、日立のデジタル技術を活用して、資金充当した発電設備の発電量を自動的に計測し、CO2削減量に換算する仕組みを構築する予定だ。BOOSTRYへのデータ連携を行い、ibet for Fin上に発電量/CO2削減量を記録、投資家に対するデータの透明性・適時性を担保する。この仕組みの導入で、将来的には、サステナビリティ目標の達成状況によって利率などの条件を自動的に変更させるサステナビリティ・リンク・ボンドへの応用が検討可能になると同社では期待している。