JAL、ドコモなど 企業の枠を超えた統計情報活用の実証開始

日本航空(JAL)とジャルカード、NTTドコモは、JALとドコモ両社のデータの統計的な活用を通じて、顧客体験価値向上と社会課題の解決に取り組む実証実験を2022年11月1日から2023年3月31日まで実施する。2022年10月20日に発表した。

実証実験では、航空機搭乗前の顧客の移動状況に関する人口統計情報を作成し活用することで、スムーズな航空利用の実現を目指す。その際、各社が保有するデータを各社において個人を識別できない状態に加工し、データを相互に開示することなく解析を実施する。そのために、秘匿クロス統計技術という、ドコモが日本電信電話(NTT)の協力を得て開発した技術を使う。各社のデータが相互に開示されない状態で、第三者にデータの処理を委託することなく、企業の枠を超えた統計情報を作成し活用する取り組みは国内初。

解析のもとになるのは、JALが保有する国内線航空券の予約データのうち、搭乗に関する情報と、ドコモが保有する携帯電話ネットワークの運用データの一部。具体的には、羽田・福岡・長崎の3空港を対象とし、航空機に利用者が搭乗するまでの4つの時点(搭乗日前日、搭乗日当日の便出発の60分前・40分前・20分前)での移動状況(居住地域周辺、空港周辺、その他のいずれか)に関する統計情報を作成する。この統計情報から得られた、1カ月間における午前便・午後便別などのお客さまの人口推移傾向に基づき、定時出発率の向上に向けた施策を検討・実施。その後、施策の効果検証を通じて、新サービスに関する知見を得る。

秘匿クロス統計技術は、NTTドコモの「モバイル空間統計」(関連記事)のガイドラインに準拠しており、非識別化処理、集計処理、 秘匿処理を通じて統計情報を作成する。同ガイドラインにのっとり、利用されることを希望しない顧客のデータは利用しない。