太陽光発電で途上国の酪農家が規模拡大 搾乳設備・給水システムを近代化
(※本記事は『SciDev.Net』に2024年10月30日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
20年前、ロバート・ムベンデラ氏がマラウイの農村部で乳牛1頭の小規模な酪農業をスタートした頃は、1頭でも乳牛の搾乳には膨大な時間と労力が必要だった。
「朝夕それぞれ80分もかけて搾乳していたんです。もし牛が3頭や4頭いたら、どれだけの労力と費用が必要になるか、想像するだけでも大変でした」とムベンデラ氏は語る。
この状況が一変したのは2020年のことだった。マラウイ中央部デッザ地区のムベンデラ氏の農場で、リロングウェ農業天然資源大学(LUANAR)の研究者が太陽光発電で給電可能な搾乳機と給水システムの試験を行ったのだ。
この搾乳機により、搾乳時間が劇的に短縮された。「今では、搾乳にかかる時間は8~10分で済むんです」とムベンデラ氏は話す。
その後、ムベンデラ氏らこの技術を試した酪農家たちは、生産性や牛乳の質、生活の質の向上を実感している。「今は搾乳に必要な水※を遠くまで汲みに行かずに済むようになりました。システムが牧場内に水を自動供給してくれるからです。浮いた時間の分、他の重要な活動に時間を割けるようになりました」とムベンデラ氏は語る。
(※編集注:乳牛は搾乳後に大量の水を飲む。また清拭や機器洗浄にも水を使用する)
太陽光発電で動く搾乳・給水システムの拡大計画
この実証実験プロジェクトの成功を受け、マラウイ国家科学技術委員会(NCST)は、この取り組みを拡大し、マラウイ農村部全体で小規模な酪農を変革することを目指している。
「政府の科学技術基金の支援を受け、NCSTはこのプロジェクトの規模を拡大する準備を進めています」と、NCSTの主任研究サービス担当官マイク・カチェドワ氏は述べた。
また、同氏は「この技術の成果が確認されたことから、試験に参加した小規模酪農家が協同組合を結成し、設備の維持管理費用を負担することになりました」と説明する。
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