ハイブリッド車、豪で人気上昇中 しかし実際はガソリン車と大差ないという調査結果も
(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年6月19日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
昨年、オーストラリアではプラグインハイブリッド車(PHV)が衰退の一途をたどっている、とデータが示唆していた。しかし、現在は状況が変わっている。最新のデータによると、2024年1月~3月にプラグインハイブリッド車とハイブリッド車(HV)の合計販売台数が電気自動車(EV)の販売台数を上回った。この傾向は4月、5月も続いた。
2023年の1月~3月では、HVは全体の6.8%のシェアを占めていたが、今年の同時期にはそのシェアがほぼ倍増し13%に達した。同様の傾向はグローバル市場でも報告されている。
これは懸念すべき事態である。HVは従来のガソリン車やディーゼル車よりはクリーンだが、依然として化石燃料を消費し、メーカーが主張するよりも多くの温室効果ガスを排出している。ゼロエミッションの電気自動車には到底及ばない。
では、なぜ消費者はHVを求めるのか。その理由を探ってみよう。
ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車の仕組み
ご存じの方も多いだろうが、HVには2種類ある。
- ハイブリッド車:内燃機関と電動モーター、バッテリーを組み合わせたもの。回生ブレーキを利用して、ブレーキ時に生じるエネルギーを電力に変換しバッテリーを充電する。プラグイン充電はできず、エネルギーを得る唯一の方法はガソリンやディーゼルを補充することだ。利点は、従来の車よりも燃料効率が高いことである。
- プラグインハイブリッド車:内燃機関と大出力の電動モーター、バッテリーを組み合わせたもの。HVとの違いはバッテリーを直接電源から充電できる点である。もちろんPHVも回生ブレーキを利用してバッテリーを充電することができる。電動モードだけで走行可能だが、バッテリーの電圧が低下したり、より多くのパワーが必要な場合は内燃機関が作動する。
両タイプとも従来のガソリン車よりもクリーンだが、電気自動車ほどクリーンではない。多くの場合、HVは電動モーターよりもガソリンやディーゼルエンジンで走行することが多く、かなり排出量が多い。
一方、電気自動車は電動モーターとバッテリーのみで走行するため、運転時の排出量はゼロである。もし太陽光発電やその他のグリーン電力を使用して充電すれば、利用エネルギーを含めても非常に低い排出量で済む。ガソリンスタンドに行く必要はなく、家庭や公共の充電ステーションで充電することができる。
今、ハイブリッド車が人気になった理由
これは偶然ではない。HVは交通部門からの排出量を削減するための、移行段階の手段として自動車メーカーにより大々的に宣伝されている。特に世界最大の自動車メーカーであるトヨタは電気自動車に懐疑的で、もっと公共の充電インフラが普及し、電気自動車が安価になるまでHVに焦点を当てている。
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