リモートワーク導入企業対決！ リクルートHD VS. LINEヤフー

コロナ禍で広まったリモートワーク。出社と在宅勤務のいずれが効率的かについての議論も続くなか、一定程度定着し、「転職なき移住」には、地域に人と経済効果をもたらすものとして期待も大きい。いち早く新しい働き方の体制を整えた２社を比較する。

働き方の自由度を大きく拡大する、リクルートHDとLINEヤフー

リモートワークはコロナ禍で一気に広がり、コロナ収束後も一定程度定着している。出社と在宅勤務のいずれが効率的で、業績にどう影響するのかなどの議論が続いているが、リモートワークが地域に新たな人流や経済効果をもたらす可能性も大きい。いち早く新しい働き方の体制を整えた2社、リクルートHDとLINEヤフーはどう取り組んでいるのか。

リクルートHDは今、「indeed」などのオンライン求人プラットホーム運営、「ゼクシイ」などの人材マッチング・販促、総合人材派遣の３事業を柱とし、関連会社は10社、連結子会社は257社に及ぶ。2008年から、育児・介護などの事情を抱える社員を対象にリモートワークを導入していたが、2015年に本格導入に向けた実証実験を開始。例えばリクルートマーケティングパートナーズでは、全従業員に導入するとともに、オフィスの環境整備も進め、2016年に「テレワーク推進賞会長賞」も受賞している。2020年にコロナ禍が拡大するやリモートワークを推奨し、緊急事態宣言時は95％が在宅勤務となった。現在は、一部職種を除いて、理由や回数を問わず全社が導入し、働く場所を自由に選択できる。一方で、2023年7月には本社オフィスもリニューアルし、オフィスを、自宅やコワーキングスペースなどと並列の選択肢に位置づけた。

LINEヤフーは、2023年10月、LINEとヤフーなど5社の統合によって誕生した。再編後は、ヤフー、LINEによるディスプレイ広告などのメディア事業、ZOZOなどのコマース事業、PayPayなどのフィンテック事業を3本柱として展開し、子会社114社、関係会社36社を擁する。ヤフーでは、2014年に、働く場所を自由に選べる「どこでもオフィス」制度を開始していたが、2020年には月5回だった利用制限を無制限とし、リモートワークを選ぶ社員が約9割に達した。また、「リモート環境でもパフォーマンスへの影響はなかった」などの声がことから、2022年、国内のどこでも居住可能とし、通勤時の交通手段の制限を撤廃するなど、大幅な制度拡充を行なった。その結果、飛行機や新幹線での通勤圏に転居した社員が130名以上に上り、中途採用応募者が1.6倍に増加するなどの成果が出ている。LINEでも、2021年から「LINE Hybrid Working Style」を導入し、出社を前提としない働き方改革を進める一方、働きやすいオフィスづくりにも力を入れている。

コロナ禍を経て、社会全体でこれまでの働き方そのもの、オフィスの意義そのものの見直しが進む。それと表裏一体で、ダイバーシティやワークライフバランスなどの経営テーマも新たなフェーズに入った。コロナ後の新しい働き方に向けた、各社の方向性を注視したい。

両社の概要

業績

リクルートホールディングス

出典：有価証券報告書、決算短信

ＬIＮＥヤフー

出典：有価証券報告書

セグメント別実績

リクルートホールディングス

出典：決算短信

ＬIＮＥヤフー

出典：ホームページ（業績・財務）

リモートワーク推進の取り組み

リクルートホールディングス

出典：ホームページ（新卒採用）、ブログ

ＬIＮＥヤフー

出典：プレスリリース

出典：ニュース