「有志の」企業内大学とも連携し挑戦者を育成、ヘルスサイエンスの事業を創出

食から医まで幅広く事業を展開するキリングループ。キリンHDでは2017年からグループ全体を対象に『キリンビジネスチャレンジ』を開始。次なる成長へ向けた、イノベーションの創出を図る。

左/田中 吉隆 キリンホールディングス 経営企画部 健康事業推進室
中央/畠山 廣敬 キリンホールディングス 経営企画部 健康事業推進室
右/長谷川 幸司 キリンホールディングス 経営企画部 健康事業推進室 主査

ヘルスサイエンスでゼロイチの事業を

食から医にわたる事業領域での次の成長へ向けたイノベーション創出のため、新たなビジネスアイデアを具現化する志のある人を支援するプログラムとして2017年にスタートした『キリンビジネスチャレンジ』。

同社では2017年以前にもビジネスアイデアを募集するワークショップなどを随時開催していたが、制度化しサポート体制を強化することで、アイデアを事業化へつなげる部分に重点を置いた。

応募テーマは、酒類・飲料、医薬に加えて、ヘルスサイエンスなど、食から医にかかわる幅広い分野。

経営企画部 健康事業推進室の長谷川氏は「当時、中期経営計画を策定するなかで、既存事業である食と医の間、〈ヘルスサイエンス〉でゼロイチの新たなビジネスを立ち上げる部分に力を入れていくという全体の流れがあり、それもふまえた制度設計となっています」と説明する。

「アイデアの発想は『課題起点』を基本としています。お客さまの課題にまず向き合う。技術ありきの起案は推奨していません」(長谷川氏)

エントリーされたアイデアは、1次・2次の書類審査、3次プレゼン審査、最終プレゼン審査を経て事業化へと進む。第4期目の2020年は166件の応募があり、うち4件が採択。案件により、事業会社で検証を進めるもの、ホールディングスで引き受けるものなど、事業化へ向けては柔軟に対応する。

「制度をホールディングスで運営しているのは、1つの事業会社に紐づけることなく柔軟な体制でサポートするためです。テーマもあまり縛らず、自由に発想できる環境をつくることが重要だと考えています」(長谷川氏)

企業内大学が母集団形成に貢献

2021年9月、同制度発の2つ目の新規事業として、トレーニングユーザーに向けて新たな栄養摂取体験を提供する、個別化サプリメント事業『GOLD EXPERIENCE(ゴールドエクスペリエンス)』がスタートした。

キリングループでバイオケミカル事業を展開する協和発酵バイオの社員によるエントリーで、審査通過後、事業化へ向けサービス検証を行ってきた。提案者が事業提案にとどまらず主体的に事業検討へチャレンジでき、アイデア創出から事業化までの幅広い社内サポート体制が充実したこの制度があったため、企画を提案し、事業化することが出来たという。長谷川氏は「制度のサポート体制の中で、フルに時間と予算を使うことができたこと。ものづくりという意味ではキリンのアセットを使えたことが事業実現への近道になったと思います」と話す。

第5期目となる今年は152件のアイデアが集まっている『キリンビジネスチャレンジ』。参加者の母集団形成には、2019年に有志団体で立ち上げられた企業内大学『キリンアカデミア』の活動が貢献している。活動を立ち上げた1人である田中氏は「『キリンをより挑戦志向の風土にする』がキリンアカデミアの目的です。現在はチャレンジ制度とも連携した活動を行っています」と話す。

新規事業に関するイベントへのユニーク参加数は現在1900人ほど。こうしたイベントで触発され、『キリンビジネスチャレンジ』へ応募する社員も多く、企業内大学を事業創出につなげる好事例といえる。

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