スポーツ・アウトドアアパレル対決 ゴールドウインVSデサント

コロナ禍によってアパレル産業は大きな打撃を受けたが、いち早く市場が回復してきたのがスポーツ・アウトドアアパレルだ。国内大手のゴールドウインとデサントはそれぞれ、EC事業や海外展開の強化、新素材開発、環境負荷低減などに取り組んでいる。2社の取り組みを比較した。

EC好調で業績を回復するスポーツアパレル大手2社

コロナ禍はあらゆる産業に深甚な影響をもたらしているが、もちろんアパレル業界への影響も大きい。ただ、対面販売が難しくなった分ECでの売上は好調で、大手のゴールドウイン、デサントでも、ECが業績回復を強力に下支えしている。

ゴールドウインは、1951年、富山県小矢部市でメリヤス製造所として創業、現在、コーポレートブランドの他、ザ・ノース・フェイス、ヘリーハンセンといった人気ブランドを扱う国内有数のメーカーとなっている。1964年の東京五輪では、体操、バレーボールなどの日本代表ユニフォームを製作した。その後、70年代から80年代にかけてのスキーブーム、その後のフィットネスやアウトドアのブームを支えた。

今日、その売上高の98%は国内で占められ、EC売上高・比率も着実に上昇している。OMO(オフラインとオンラインの融合)ツールの活用による直営店/ECの在庫循環促進が、その要因だ。北海道・ニセコや長野県・白馬、あるいは東京・新国立競技場付近にフィールド隣接型の店舗を設けるなど、スポーツ愛好者の声を取り入れて製品開発に反映させる積極的な実店舗活用も好調の要因といえる。

2019年には、「人工クモの糸」の開発で有名になったスタートアップSpiberとアウトドアジャケットを共同開発した。Spiberの「Brewed Protein」素材を使ったもので、非石油由来素材と製品の開発にも大きく踏み出した。環境問題解決に向けた長期ビジョン「PLAY EARTH 2030」でも、環境負荷低減素材の製品比率を2030年に90%とする目標を掲げ、2022年3月期実績は36%と、当初目標の30%を前倒しで達成した。

国内を主戦場とするゴールドウインと対照的に、韓国など海外での売上比率が高いのがデサントだ。デサントの創業は1935年。携帯用ウインドブレーカーを皮切りに、プロ野球のニット生地ユニフォーム、スキーブームの立役者となった「デモパン」や競技用「ダウンヒルスーツ」の開発などによって、スポーツアパレルの代表的メーカーとなった。現在、デサントブランドの他、ルコックスポルティフやゴルフのマンシングウエア、水着のアリーナなど誰もが知るブランドを展開する。

2022年3月期、国内ではコーポレートブランドの売上高が最多でコロナ禍前の水準に回復、ルコックスポルティフ、マンシングウエアがこれに続く。韓国では全ブランド増収だったが、特にサッカー用ウエアで有名なアンブロは前年比185%と大きく伸びた。売上高1088億円の半分以上、537億円を韓国が占め、国内が511億円となっている。40億円にとどまる中国が、今後の注力市場となる。

店舗と自社ECの在庫を共有するオムニチャンネル化を推進するなど、DtoC(消費者への直接EC販売)事業にも積極的で、今後も事業の大きな柱になりそうだ。

これまで、ほぼすべての太陽光を吸収して発熱・蓄熱する素材「ヒートナビ」や、赤外線の反射率を高めてウエア内の温度上昇を抑える素材「サンスクリーン」、アンモニア臭をすばやく消臭する「デオダッシュ」など、スポーツ、アウトドアに特化した先進的素材技術を数々開発してきた。近年ではアップサイクルにも取り組む。デサントアパレルの宮崎県・西都工場では、出荷されなかった商品を裁断して組み合わせ、新たな商品にする事業を進め、この春夏シーズンの新作も販売されている。サステナビリティ活動「RE: DESCENTE BUILD」の一環として廃棄量を削減する試みだ。

アパレル業界は、製造から廃棄に至る商品のライフサイクル全体の環境負荷が特に大きな産業であり、その解決は喫緊の課題だ。暮らしを豊かにする素材・繊維技術の進化と平行して、環境技術におけるイノベーションについても、大手アパレルメーカーに寄せられる期待は大きい。

両社の概要

ゴールドウイン

設立 1951年
所在地 東京都渋谷区(本店:富山県小矢部市)
代表 渡辺 貴生(代表取締役社長)
資本金 70億円7, 900万円(2021年3月)
従業員数 連結:2, 996名(2021年3月)
主な
事業内容と
グループ会社
●スポーツ用品の製造・販売
- アウトドアスタイル関連(登山用ウエア、マリンウエアなど)
- アスレチックスタイル関連(トレーニング、テニス、フィットネス、スイム、ゴルフ用ウエアなど)
- アクティブスタイル関連(スキー、スノーボード用ウエアなど)
- その他(機能アンダーウエア、ハイテックウエア(防塵服)など
●国内事業所:5ヵ所(東京、富山、大阪、札幌、福岡)
●グループ会社:ナナミカ、ウールリッチジャパン など計7社
●国内直営店舗数:161店(2021年3月)
●海外拠点:4ヵ国5拠点( 北米、欧州、中国、韓国)

出典:ホームページ

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