宿泊業対決! ホテルニューオータニ VS. ホテルオークラ

コロナ禍の沈静化と行動制限の緩和、個人消費の回復によって観光業が再び活況を呈する中、ホテル業界も、いまだタイムラグは伴いながらも急回復しつつある。地球環境への配慮やみずからの社会的役割にも注意を払いつつ、コロナ禍による損失を取り戻すべく努力する2つの老舗を比較する。

ホスピタリティとサステナビリティを追求する2つの名門

ホテルニューオータニは、1964年に東京オリンピックの開催に合わせて開業して以来、多くの国際会議や歴史的な晩餐会、披露宴などの舞台となってきた。今年(2024年)2月には、「フォーブス・トラベルガイド」の格付けにおいてホテルニューオータニ東京の「エグゼクティブハウス禅」が5つ星、「ザ・メイン」が4つ星を獲得している。

ホテルニューオータニでは、ホスピタリティとエコロジーの両立が「おもてなし」につながるという考え方のもと、開業当初から環境配慮を徹底してきた。厨房の排水を中水として再利用するためのプラント導入、生ゴミを施設内のコンポストプラントで有機堆肥化し、その堆肥で契約農家が栽培した野菜を活用するといった資源循環、屋上緑化の拡充など、サステナビリティに対する意識は高く、2020年にはホテル業界で初めてカーボンニュートラルLNGも導入した。開業60周年を迎えようとする今、そのホスピタリティにはますます磨きがかかる。

一方、ホテルオークラは1962年、「海外の模倣ではない日本独自のホテルの創造」を目指して開業。「世界に通じる日本の美と心」を伝えることを理念に「Best A.C.S.」(Accomodation, Culture, Service)を追求してきた。その歩みは今、「新たな50年に向けたビジョン」を掲げて新しい段階に入りつつある。

「世界最高品質」を目指す上で重視するのは、地域社会との共生、環境負荷の低減、安心・安全への取り組みといったサステナビリティ関連の施策だ。敷地面積の半分相当の公園緑地を整備し、一部を一般開放しているほか、72時間超の非常時ライフライン確保、一時避難所としての敷地提供、帰宅困難者受け入れのための災害協定締結など、大都市におけるホテルの社会的役割の拡充に向けた取り組みが目立つ。昨年(2023年)には国内30のホテルが、持続可能な観光施設を認定する「サクラクオリティ」の認証も取得している。 2025年にはジャカルタ、2027年にはオマーンやベトナム、中国での新たなホテル開業も予定しており、「日本の美と心」、上質なおもてなしを世界に伝える取り組みにも力が入る。

インバウンド客やビジネス利用などの需要が急回復する一方、相次ぐ外資系ラグジュアリーホテルの進出など、国内の経営環境の厳しさも増している。他社にはない立地と磨き上げてきたブランド力を武器に、新たなサービス、新たなホテルの価値創造に向けた老舗ホテルの取り組みは続く。

両社の概要

ニュー・オータニ

設立 1963年
本社 東京都千代田区
代表 大谷 和彦(代表取締役社長)
資本金 34億6,200万円
従業員数 1, 313名
主な事業と
グループ会社
●ホテル事業(レストラン、物販等付帯事業を含む):
ニュー・オータニ、ニューオータニ九州、
エイチアールティーニューオータニ、日ノ丸観光
他(直営ホテル:国内3、グループホテル:国内13、海外1)
●貸店舗事業:ニューオータニ九州、テーオーシー

出典:ホームページ(会社概要、有価証券報告書)

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