ロイヤルの再生成長営戦略 規模の圧縮で高い付加価値を提供

レストランやホテルなどを展開するロイヤルホールディングスは、規模の戦略的圧縮という従来の常識に当てはまらない手法で逆境を乗り越え、売上・利益の継続的な成長を実現している。同社代表取締役会長の菊地唯夫氏に、その経緯や今後の日本で求められる経営について聞いた。

聞き手・松江 英夫 社会構想大学院大学 教授、事業構想大学院大学 客員教授

菊地 唯夫
(ロイヤルホールディングス 代表取締役会長)

人口減少時代にみられる
前提条件の変化と供給制約

1951年創業のロイヤルグループは、日本航空の国内線営業開始と同時に、福岡空港における機内食搭載と喫茶営業から事業を開始。現在は、「外食・コントラクト・ホテル・食品」の4つが主力事業になっている。このうち、外食事業では、レストラン「ロイヤルホスト」や天丼・天ぷら専門店「てんや」、サラダバー&グリルレストラン「シズラー」など様々なブランドを全国展開している。

「外食では1970年代頃から、産業化のプロセスが始まりました。当時の日本では人口が増加し、経済も成長しており、外食のニーズが高まっていました。このような時代には顧客が喜ぶ業態を見つけたら、それを画一的に、スピーディーで、効率的に展開するのが王道で、それを支えたのがチェーン理論やセントラルキッチン、フランチャイズシステムでした」と、同社代表取締役会長の菊地唯夫氏は解説する。

しかし、2008年以降は人口が減少に転じ、様々な課題が表面化してきた。このような中、菊地氏は「人口増加の時代からのシステムモデルが、今後も有効なのかと私たちは一旦、立ち止まって考えるべきです」と指摘する。人口減少時代には、まず前提条件が変化する。大きな前提条件の変化は、需要サイドと供給サイドの変化だ。

需要サイドでは、人口増加期は子どもからシニアの市場まで、あらゆる市場が拡大したが、減少期にはシニアの市場は拡大しても、子どもの市場は縮小するなど市場が二極化していく。そして、供給サイドでは「供給制約」が前提になる。

「例えば、素晴らしい業態を作ってアルバイトを募集すれば、従来なら沢山の応募があり、良い人材を採用できました。しかし、現在は人が集まらず、店のオープンを延期せざるを得ないような事が起きる時代です」。

ロイヤルホールディングスの菊地会長を迎えた事業構想トップセミナーは2025年1月21日にオンラインで開催した。右の写真は、ロイヤルホストで販売をした国産車海老を使用したカレー。

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