SBイノベンチャーに聞く、提案制度継続の秘訣

ソフトバンクグループの新規事業提案制度運営と事業立ち上げを担うSBイノベンチャー。提案制度を有効に機能させ、ゼロイチの事業を数多く生み出す秘訣を、同社事業推進部の佐橋氏に聞いた。

佐橋 宏隆 SBイノベンチャー 事業推進部 部長

新規事業立ち上げの専門会社

ソフトバンクグループの社内起業制度『ソフトバンクイノベンチャー』で選定されたアイデアの事業化支援を担当するSBイノベンチャー。

同制度は2011年に開始されたが、背景には2010年に発表された『ソフトバンク新30年ビジョン』での“戦略的シナジーグループ5000社”の実現がある。ソフトバンクはそれまで創業者の孫正義氏が主導するM&Aや他社との提携などによりさまざまな事業を立ち上げてきたが、社員発のボトムアップの事業で新会社を立ち上げて“戦略的シナジーグループ5000社”の一端を担うという目的でこの制度が立ち上がった。

SBイノベンチャー・事業推進部の佐橋氏は「この制度は、新規事業の創出はもちろん、事業を創れる経営人材の育成という目的も持っています」と話す。

通信事業を主体とするソフトバンク自体はゼロイチのビジネスを手がけることは少なく、パートナー企業との提携や共創による事業開発の取り組みが多い。SBイノベンチャーはグループの中でゼロイチの事業を担う数少ない存在といえる。

「多くの応募の中からステージ制でアイデアをふるいにかけます。厳しい審査を通過した事業だけが、最終的にソフトバンク傘下の子会社などになりスケールしていく仕組みです」

事業化まで細かくサポート

近年、事業化に成功した事例の1つが、日本食の越境ECを支援する『umamill(ウマミル)』だ。当初の構想は、農産物輸出時の基準であるグローバルGAP認証の取得をサポートする事業だったが、検証の結果、農産物の輸出が伸びない理由は、輸出自体へのハードルにあることがわかり、ピボット。現在は日本の食品全般を扱う輸出支援プラットフォームとして運営している。

SBイノベンチャーでは事業化が決定したアイデアに対し、仮説検証や進捗管理などの段階からきめ細かくサポートする。

「提案者は事業立ち上げの経験がある人ばかりではないため、どう進めるか、今のステージで何が重要かなど、寄り添って伴走する形をとっています」

失敗を成功につなげる重要性

ソフトバンクグループの社内起業制度は、すでに10年の歴史を持つ。継続の秘訣について「募集をかけて待っているだけでは継続しません。運営側が積極的に介入する必要があります」と佐橋氏。SBイノベンチャーでは勉強会やノウハウ・チームづくりをサポートするコミュニティ運営を行っている。

「運営側が、ポテンシャルのある社員や社内起業家と接点を多く持つことが重要です。私たちは、日々さまざまな勉強会やコンテンツを提供しています」

そして佐橋氏は、制度やコミュニティの活性化以上に重要なこととして「会社としてどのような方向性を求めるのか、経営トップの発信が必要」と指摘する。

「失敗経験をいかに生かすかも重要です。失敗経験のある方が、2回目、3回目の挑戦でうまくいく。減点主義で評価せず、挑戦しやすい仕組みが制度を長く継続させ、成功を生むポイントです」

 

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